chapter32
- 2014/02/08 22:40
- Category: Story
こんばんは!今日は時間があったので私にしては珍しい休日更新です♪
今回のストーリーでお友達シムさんが2名友情出演してくださってます。私の方で役を
当てさせていただきました!どうもありがとうございます^^
シャロンの友人リアナ:momoichigoさんから頂いたシム
シャロンの友人デューク:EZさんから頂いたシム
そして今回は冒頭から肌色シーンになる為本文を少し下げておきますね(笑)
読んで頂く際には背後にご注意願います(〃ノ∀`〃)ポッ
ではでは本編スタートです♪
カレンの肌に触れている場所がひどく熱い。
その熱にうかされるように、俺はカレンの白磁のような滑らかな肌に唇を落とす。

びくりとカレンの体が震え、その反応にさらに俺は煽られていく。
こんな形で抱き合うことに抵抗がない訳じゃない。本当に好きだと思える女だから尚更だ。
マークの存在さえなければ例えカレンに誘われたとしても抱かなかっただろう。

カレンはきっとマークともこんな風に抱き合っていたはずだ。
それを考えると胸をかきむしりたいほどの強い嫉妬に襲われて、自分を抑えきれなくなった。
こんな風にカレンを抱くのはきっと間違っている。
分かっている。でももう止めることができない。

「レ・・・イ・・・」
掠れた声が俺の名を呼ぶ。俺の視線に気が付いたカレンは羞恥のためなのか、顔を背けた。

好きだ。愛している。
その言葉が喉まで出かかってそんな想いを振り切るように、俺はカレンに深く口付ける。
細い手首を押さえ、俺はカレンを抱いた。

「・・・・・・・」
目覚めると隣にいたはずのカレンはもういなかった。

昨夜のことがまるで夢のように思えたが、シーツからカレンのいつも付けている甘い香水の香りがあれは現実だと言っている。
一線を越えてしまった。それもあんな形で。

まだぼんやりとする頭を活性化しようと俺はタバコに火をつけ、深く煙を吸う。
浮かんでくるのは昨夜のカレンの姿ばかりだ。カレンから誘ってきたにも関わらず、事の間終始体を固くしていた。あれはやはりマークに心があったということなのだろうか。
それでもいいと抱いたくせに、このザマだ。

ふと窓の外に視線をやると、一晩中降り続いて積もった真っ白な雪が道を行く通行人に踏まれ、グレーに色を変えている。
この雪のように俺はカレンを汚してしまったような、そんな気がしてならなかった。
レイが寝ている間にそっとホテルを抜け出し、自分の部屋にたどり着いて私は大きくため息をつく。

初めて、だった。この歳まで男とまともに付き合ったことがなかったから。
それなのに自分から誘うなんて。
我ながら自分の大胆さに呆れてしまう。

どんなに想ってもレイは過去の婚約者を忘れられないだろう。プレイボーイのくせに、遊び人特有の厭らしさを感じなかったのは心の奥にサラという婚約者を想い続けていたからだと、今なら分かる。
私のことなんかきっとただの友人くらいにしか思ってない。
でも。どんな形になってもいいから、レイと一晩一緒にいたかった。

きっとそうすれば諦められる。
レイのことは思い出に出来る。
心の中はレイでいっぱいな癖にそう自分に言い聞かせることしかできず、私は再びため息をついた。

「シャロン、変わった。何かあったでしょ」
そう言って私の顔をじっと見つめてくるのは友人のリアナだ。私の所属しているモデルクラブで事務の仕事をしている。明るくて裏表のないさっぱりとした性格で一緒にいて疲れない数少ない同性の友達。

「別になにもないわよ」
まさか自分の中の気持ちが外にまで出ているなんて思っていなくて、私はちょっと慌てた。
それにここはカイトのいるカフェだ。本当はここに来る予定はなかったのに、買い物がおわったあとリアナが「いいカフェがある」と連れてこられてしまった。

「ふ~ん。そうかなあ。なんか最近すごく可愛くなった気がするんだけど」
職業柄「綺麗」だといわれることは多くても「可愛い」と言われることはあまりなくて、リアナの言葉に驚く。可愛らしさなんて以前の私なら持ち合わせていなかった。憎たらしさには自信があったけど。

「ありがと。それよりリアナ、彼とうまくいってるの?」
リアナの彼は一流企業で働くビジネスマン。いつも忙しくてなかなかゆっくり会う時間がないとぼやいていた。
「うーん・・・。彼本当に忙しいらしくて、メールの返事もくれないときがあるのよ」

「でも好きなんでしょ」
「・・・好きだから我慢できてるの。彼じゃなかったら速攻でサヨナラよ」

誰かを好きになるということはそれだけ心に弱みを持つことだと思ってたけど、今はそれだけ素直に彼のことを好きだと言えるリアナがとても羨ましく感じる。
その時リアナの携帯が鳴った。

どうやらメールらしく、その液晶画面に向けたリアナの表情が嬉しそうにほころぶ。

「彼から?」
「もう失礼しちゃう。今近くにいるらしくて、食事でもしようとか誘ってきたの。忙しいのは自分だけだと思ってるのかしらね。私だって用事があるって断るから」
私の問いにリアナがわざと事もなげに言った。でも言葉の端々に彼から連絡がきたという喜びが滲んでいる。

「彼に会いたいんでしょ?私はいつだって会えるんだから、彼のとこに行ってあげて」
「・・・・いいの?」
「そのかわり、今度お茶するときはリアナのおごりね」

「・・・シャロン、ありがと!ケーキでも何でもおごっちゃうから!」
じゃーね、と言って早足で去っていくリアナはとても嬉しそうだ。

私もカイトから誘われたらあんな風に喜ぶんだろうか。
ふと沸いて来た自分の思いを慌てる。カイトのことは・・・別にそんなんじゃない。
絶対に・・・違うんだから。

「シャロン?シャロンじゃん」
ふいに声をかけられて頭を上げると、そこにいたのは遊び友達の一人デュークだった。

「久しぶりね。こんな昼間にデュークに会えるとは思わなかったわ」
デュークが動き出すのは早くても夕方からだ。クラブの用心棒のような仕事をしていて朝まで仕事という生活サイクルをしていたら自然にそうなってしまったと以前言っていた。

「昨日今日と休みが貰えたからな。それより、最近全然集まりにこねーじゃん。相変わらずセレブ狙いで頑張ってんの?」
「ちょっ!!声が大きいのっ!」
ちょうどカイトが隣の席に注文を取りにきていて、今の話が聞こえるんじゃないかとヒヤヒヤしてしまう。

立ったまま話し続けようとするデュークの腕をひっぱり、とにかく席に座らせた。
ちらりとカイトがこちらに視線を送ってきたのがわかる。
カイトの視線が私の顔に当たって、それだけでちりちりと焼けるように熱くなった。
一体何なんだ。

シャロンが友達とカフェに突然現れて喜んだのもつかの間。その友人と入れ替わりに現れた男に親しげに接するシャロンを見てしまってからイライラが収まらない。
クリスマスパーティーのときに俺に見せた態度は・・・俺の勘違いだったっていうのか。

「カイト、シャロンの連れの注文は?」
のんびりした様子で尋ねてくるジェイクにさえひどく腹がたってしまう始末だ。
「・・・お前が取りにいけよ。俺は忙しいんだ」

「はあ?俺は本職パティシエなんだぜ?!注文とってくるのはお前の仕事だろーが」
「断る」
「何一人でイライラしてんだ。俺はしらねーからな」

俺の様子に呆れた様子でジェイクはそのままケーキを作る厨房へと姿を消してしまった。

シャロンと男のほうへ視線を向けると、二人は楽しそうに笑いながら話している。
俺と話している時はいつも不機嫌な顔をしているくせに、惜しみなく笑顔を振りまいているシャロンにまた怒りが沸いてしまう。

嫉妬・・・ってやつなんだろうな。
今まで女に対してこんな感情を持ったことがなかったせいで、この感情との向き合い方がわからない。
かと言って自分の中にしまい込んでおけるようなものでもなくて。
ため息をつきながら、俺はシャロンの席へと向かった。

近付いていく俺を見てシャロンは先ほどまで楽しそうに笑っていたのに、途端に口を噤む。そんな態度に俺をシャットアウトしているような雰囲気が感じられた。
「ご注文は?」
感情を込めないように、努めて冷静に連れの男に尋ねる。

「ビールねえの?」
「うちはご覧のようにカフェですからアルコール類は置いておりません」
「なんだよ、シケてんなあ。んじゃコーヒーでいいわ」
「かしこまりました」

近くで見るとつれの男は女好きしそうなワイルドな男で、自分にはないものを見せ付けられた俺は更に苛立つ。
シャロンはこういうタイプの男が好きなのか?

「・・・なんだよ」
注文をとり終わったはずのギャルソンが動かないことに男は訝しげな目を向ける。
お前は一体シャロンとどんな関係なんだと問い詰めたい衝動をやっとの思いで押さえ込み、一礼してその場を去った。

シャロンとあの男の様子を見ているのが辛くなった俺は注文を通し、他の客が引いたタイミングを見計らって店舗2階の事務所兼休憩室のソファに座り込んだ。
シャロンが色々な男と付き合っていたのは知っている。

でも俺の前で涙を見せた後、シャロンは少しずつ変わっていった。その姿に俺の心の中に占めるシャロンの割合はどんどん増えていって。
自分のことをシャロンも好きなのではないかという自意識過剰なことまで考える始末だ。

今まで付き合ってきた女が俺に見せる嫉妬心や独占欲をうっとうしいと思っていた。
それは自分が本当の意味で彼女たちに惹かれていなかったからだとようやくわかった。
人は本気で誰かを好きになれば、その相手を自分だけのものにしたくなる。

・・・・・。
シャロンを誰にも渡したくない。
俺だけを見ていて欲しい。
はっきりとそう言えたらどれだけ楽になれるだろうか。

そんなことを考えているとふいに部屋の扉が開き、シャロンが姿を見せた。
何故こんなところにシャロンが・・・?

「これ、ジェイクがカイトに持っていけって。一人でイライラしてるから今は顔を合わせたくないっていってたけど、何かあったの?」
そう言ってシャロンがテーブルの上に新しい注文伝票を置いた。
パーティーで見せたあの可憐な姿ではなく、いつもと同じシャロンの様子に俺は落胆する。

「別に。なんでもない。早くあの男の所へ戻ってやれよ」
みっともない言葉が自分の口から漏れることに俺自身驚いてしまう。
こんなことは言いたくないのに。
抑えることができない。
自分の感情をコントロールできないことなんて初めてだ。

「あの男はただの友達よ。勘違いしないで」
「そうか、お前は金持ち狙いだもんな。ああいうタイプは歯牙にもかけないか」
「・・・っ!!どうして・・・そんなこと言われなきゃいけないの?!」
俺の前に立っているシャロンの手が小刻みに震えている。

「今までは確かにそうだったわ!でも・・・っ・・・カイトが自分を大事にしろって言ってくれて本当に嬉しかったの!だから変わろうと思ったの!そんな風に思ってたならあんなこと言わないでよっ!!」
声を荒げてそう言ったシャロンはそのまま俺に背を向け、部屋と出て行こうとした。
違う。俺はそんな風に思ってない。シャロンは確かに変わったと思ってた。
だからこそ俺は・・・。

「だったら・・・っ!」
シャロンの腕を強く掴んで自分の方へ引き寄せた。
胸の中でシャロンは驚いた顔をして俺を見上げる。
「あんな男と楽しそうにするな」
嫉妬心が抑えきれない。もう誰にもシャロンを渡したくない。その想いだけが今の俺の全てだ。

「何言ってるの・・・」
俺の視線から逃れるようにシャロンが視線を俺から外す。
「こっちを見ろ」
シャロンが強い言葉に躊躇しているのが分かった。吸い込まれてしまいそうな大きな鳶色の瞳が躊躇いがちにゆっくりと俺の方へ向けられる。

「最初はなんて嫌な女だろうって思ってたよ。お前のこと。でも本当のお前は違うって気が付いてからお前を独占したいって思うようになった。だから・・・」
「俺だけを見てて欲しい。・・・嫌ならはっきり言ってくれ」

俺の突然の告白にシャロンが呆然としていたが、それも一瞬のことでみるみるうちにシャロンの頬が赤く染まっていく。
「・・・嫌じゃ・・・ない」
囁くようにシャロンが答えた。
その言葉は俺が今まで他の女に言われたどんな言葉よりも大切なものに思えた。

「好きだ」
ゆっくりとシャロンに顔を近付けると、シャロンもそのまま瞳を閉じる。

激しい胸の高鳴りを感じながら俺はシャロンにそっと口付けた。
chapter33へ続く
今回のストーリーでお友達シムさんが2名友情出演してくださってます。私の方で役を
当てさせていただきました!どうもありがとうございます^^
シャロンの友人リアナ:momoichigoさんから頂いたシム
シャロンの友人デューク:EZさんから頂いたシム
そして今回は冒頭から肌色シーンになる為本文を少し下げておきますね(笑)
読んで頂く際には背後にご注意願います(〃ノ∀`〃)ポッ
ではでは本編スタートです♪
カレンの肌に触れている場所がひどく熱い。
その熱にうかされるように、俺はカレンの白磁のような滑らかな肌に唇を落とす。

びくりとカレンの体が震え、その反応にさらに俺は煽られていく。
こんな形で抱き合うことに抵抗がない訳じゃない。本当に好きだと思える女だから尚更だ。
マークの存在さえなければ例えカレンに誘われたとしても抱かなかっただろう。

カレンはきっとマークともこんな風に抱き合っていたはずだ。
それを考えると胸をかきむしりたいほどの強い嫉妬に襲われて、自分を抑えきれなくなった。
こんな風にカレンを抱くのはきっと間違っている。
分かっている。でももう止めることができない。

「レ・・・イ・・・」
掠れた声が俺の名を呼ぶ。俺の視線に気が付いたカレンは羞恥のためなのか、顔を背けた。

好きだ。愛している。
その言葉が喉まで出かかってそんな想いを振り切るように、俺はカレンに深く口付ける。
細い手首を押さえ、俺はカレンを抱いた。

「・・・・・・・」
目覚めると隣にいたはずのカレンはもういなかった。

昨夜のことがまるで夢のように思えたが、シーツからカレンのいつも付けている甘い香水の香りがあれは現実だと言っている。
一線を越えてしまった。それもあんな形で。

まだぼんやりとする頭を活性化しようと俺はタバコに火をつけ、深く煙を吸う。
浮かんでくるのは昨夜のカレンの姿ばかりだ。カレンから誘ってきたにも関わらず、事の間終始体を固くしていた。あれはやはりマークに心があったということなのだろうか。
それでもいいと抱いたくせに、このザマだ。

ふと窓の外に視線をやると、一晩中降り続いて積もった真っ白な雪が道を行く通行人に踏まれ、グレーに色を変えている。
この雪のように俺はカレンを汚してしまったような、そんな気がしてならなかった。
レイが寝ている間にそっとホテルを抜け出し、自分の部屋にたどり着いて私は大きくため息をつく。

初めて、だった。この歳まで男とまともに付き合ったことがなかったから。
それなのに自分から誘うなんて。
我ながら自分の大胆さに呆れてしまう。

どんなに想ってもレイは過去の婚約者を忘れられないだろう。プレイボーイのくせに、遊び人特有の厭らしさを感じなかったのは心の奥にサラという婚約者を想い続けていたからだと、今なら分かる。
私のことなんかきっとただの友人くらいにしか思ってない。
でも。どんな形になってもいいから、レイと一晩一緒にいたかった。

きっとそうすれば諦められる。
レイのことは思い出に出来る。
心の中はレイでいっぱいな癖にそう自分に言い聞かせることしかできず、私は再びため息をついた。

「シャロン、変わった。何かあったでしょ」
そう言って私の顔をじっと見つめてくるのは友人のリアナだ。私の所属しているモデルクラブで事務の仕事をしている。明るくて裏表のないさっぱりとした性格で一緒にいて疲れない数少ない同性の友達。

「別になにもないわよ」
まさか自分の中の気持ちが外にまで出ているなんて思っていなくて、私はちょっと慌てた。
それにここはカイトのいるカフェだ。本当はここに来る予定はなかったのに、買い物がおわったあとリアナが「いいカフェがある」と連れてこられてしまった。

「ふ~ん。そうかなあ。なんか最近すごく可愛くなった気がするんだけど」
職業柄「綺麗」だといわれることは多くても「可愛い」と言われることはあまりなくて、リアナの言葉に驚く。可愛らしさなんて以前の私なら持ち合わせていなかった。憎たらしさには自信があったけど。

「ありがと。それよりリアナ、彼とうまくいってるの?」
リアナの彼は一流企業で働くビジネスマン。いつも忙しくてなかなかゆっくり会う時間がないとぼやいていた。
「うーん・・・。彼本当に忙しいらしくて、メールの返事もくれないときがあるのよ」

「でも好きなんでしょ」
「・・・好きだから我慢できてるの。彼じゃなかったら速攻でサヨナラよ」

誰かを好きになるということはそれだけ心に弱みを持つことだと思ってたけど、今はそれだけ素直に彼のことを好きだと言えるリアナがとても羨ましく感じる。
その時リアナの携帯が鳴った。

どうやらメールらしく、その液晶画面に向けたリアナの表情が嬉しそうにほころぶ。

「彼から?」
「もう失礼しちゃう。今近くにいるらしくて、食事でもしようとか誘ってきたの。忙しいのは自分だけだと思ってるのかしらね。私だって用事があるって断るから」
私の問いにリアナがわざと事もなげに言った。でも言葉の端々に彼から連絡がきたという喜びが滲んでいる。

「彼に会いたいんでしょ?私はいつだって会えるんだから、彼のとこに行ってあげて」
「・・・・いいの?」
「そのかわり、今度お茶するときはリアナのおごりね」

「・・・シャロン、ありがと!ケーキでも何でもおごっちゃうから!」
じゃーね、と言って早足で去っていくリアナはとても嬉しそうだ。

私もカイトから誘われたらあんな風に喜ぶんだろうか。
ふと沸いて来た自分の思いを慌てる。カイトのことは・・・別にそんなんじゃない。
絶対に・・・違うんだから。

「シャロン?シャロンじゃん」
ふいに声をかけられて頭を上げると、そこにいたのは遊び友達の一人デュークだった。

「久しぶりね。こんな昼間にデュークに会えるとは思わなかったわ」
デュークが動き出すのは早くても夕方からだ。クラブの用心棒のような仕事をしていて朝まで仕事という生活サイクルをしていたら自然にそうなってしまったと以前言っていた。

「昨日今日と休みが貰えたからな。それより、最近全然集まりにこねーじゃん。相変わらずセレブ狙いで頑張ってんの?」
「ちょっ!!声が大きいのっ!」
ちょうどカイトが隣の席に注文を取りにきていて、今の話が聞こえるんじゃないかとヒヤヒヤしてしまう。

立ったまま話し続けようとするデュークの腕をひっぱり、とにかく席に座らせた。
ちらりとカイトがこちらに視線を送ってきたのがわかる。
カイトの視線が私の顔に当たって、それだけでちりちりと焼けるように熱くなった。
一体何なんだ。

シャロンが友達とカフェに突然現れて喜んだのもつかの間。その友人と入れ替わりに現れた男に親しげに接するシャロンを見てしまってからイライラが収まらない。
クリスマスパーティーのときに俺に見せた態度は・・・俺の勘違いだったっていうのか。

「カイト、シャロンの連れの注文は?」
のんびりした様子で尋ねてくるジェイクにさえひどく腹がたってしまう始末だ。
「・・・お前が取りにいけよ。俺は忙しいんだ」

「はあ?俺は本職パティシエなんだぜ?!注文とってくるのはお前の仕事だろーが」
「断る」
「何一人でイライラしてんだ。俺はしらねーからな」

俺の様子に呆れた様子でジェイクはそのままケーキを作る厨房へと姿を消してしまった。

シャロンと男のほうへ視線を向けると、二人は楽しそうに笑いながら話している。
俺と話している時はいつも不機嫌な顔をしているくせに、惜しみなく笑顔を振りまいているシャロンにまた怒りが沸いてしまう。

嫉妬・・・ってやつなんだろうな。
今まで女に対してこんな感情を持ったことがなかったせいで、この感情との向き合い方がわからない。
かと言って自分の中にしまい込んでおけるようなものでもなくて。
ため息をつきながら、俺はシャロンの席へと向かった。

近付いていく俺を見てシャロンは先ほどまで楽しそうに笑っていたのに、途端に口を噤む。そんな態度に俺をシャットアウトしているような雰囲気が感じられた。
「ご注文は?」
感情を込めないように、努めて冷静に連れの男に尋ねる。

「ビールねえの?」
「うちはご覧のようにカフェですからアルコール類は置いておりません」
「なんだよ、シケてんなあ。んじゃコーヒーでいいわ」
「かしこまりました」

近くで見るとつれの男は女好きしそうなワイルドな男で、自分にはないものを見せ付けられた俺は更に苛立つ。
シャロンはこういうタイプの男が好きなのか?

「・・・なんだよ」
注文をとり終わったはずのギャルソンが動かないことに男は訝しげな目を向ける。
お前は一体シャロンとどんな関係なんだと問い詰めたい衝動をやっとの思いで押さえ込み、一礼してその場を去った。

シャロンとあの男の様子を見ているのが辛くなった俺は注文を通し、他の客が引いたタイミングを見計らって店舗2階の事務所兼休憩室のソファに座り込んだ。
シャロンが色々な男と付き合っていたのは知っている。

でも俺の前で涙を見せた後、シャロンは少しずつ変わっていった。その姿に俺の心の中に占めるシャロンの割合はどんどん増えていって。
自分のことをシャロンも好きなのではないかという自意識過剰なことまで考える始末だ。

今まで付き合ってきた女が俺に見せる嫉妬心や独占欲をうっとうしいと思っていた。
それは自分が本当の意味で彼女たちに惹かれていなかったからだとようやくわかった。
人は本気で誰かを好きになれば、その相手を自分だけのものにしたくなる。

・・・・・。
シャロンを誰にも渡したくない。
俺だけを見ていて欲しい。
はっきりとそう言えたらどれだけ楽になれるだろうか。

そんなことを考えているとふいに部屋の扉が開き、シャロンが姿を見せた。
何故こんなところにシャロンが・・・?

「これ、ジェイクがカイトに持っていけって。一人でイライラしてるから今は顔を合わせたくないっていってたけど、何かあったの?」
そう言ってシャロンがテーブルの上に新しい注文伝票を置いた。
パーティーで見せたあの可憐な姿ではなく、いつもと同じシャロンの様子に俺は落胆する。

「別に。なんでもない。早くあの男の所へ戻ってやれよ」
みっともない言葉が自分の口から漏れることに俺自身驚いてしまう。
こんなことは言いたくないのに。
抑えることができない。
自分の感情をコントロールできないことなんて初めてだ。

「あの男はただの友達よ。勘違いしないで」
「そうか、お前は金持ち狙いだもんな。ああいうタイプは歯牙にもかけないか」
「・・・っ!!どうして・・・そんなこと言われなきゃいけないの?!」
俺の前に立っているシャロンの手が小刻みに震えている。

「今までは確かにそうだったわ!でも・・・っ・・・カイトが自分を大事にしろって言ってくれて本当に嬉しかったの!だから変わろうと思ったの!そんな風に思ってたならあんなこと言わないでよっ!!」
声を荒げてそう言ったシャロンはそのまま俺に背を向け、部屋と出て行こうとした。
違う。俺はそんな風に思ってない。シャロンは確かに変わったと思ってた。
だからこそ俺は・・・。

「だったら・・・っ!」
シャロンの腕を強く掴んで自分の方へ引き寄せた。
胸の中でシャロンは驚いた顔をして俺を見上げる。
「あんな男と楽しそうにするな」
嫉妬心が抑えきれない。もう誰にもシャロンを渡したくない。その想いだけが今の俺の全てだ。

「何言ってるの・・・」
俺の視線から逃れるようにシャロンが視線を俺から外す。
「こっちを見ろ」
シャロンが強い言葉に躊躇しているのが分かった。吸い込まれてしまいそうな大きな鳶色の瞳が躊躇いがちにゆっくりと俺の方へ向けられる。

「最初はなんて嫌な女だろうって思ってたよ。お前のこと。でも本当のお前は違うって気が付いてからお前を独占したいって思うようになった。だから・・・」
「俺だけを見てて欲しい。・・・嫌ならはっきり言ってくれ」

俺の突然の告白にシャロンが呆然としていたが、それも一瞬のことでみるみるうちにシャロンの頬が赤く染まっていく。
「・・・嫌じゃ・・・ない」
囁くようにシャロンが答えた。
その言葉は俺が今まで他の女に言われたどんな言葉よりも大切なものに思えた。

「好きだ」
ゆっくりとシャロンに顔を近付けると、シャロンもそのまま瞳を閉じる。

激しい胸の高鳴りを感じながら俺はシャロンにそっと口付けた。
chapter33へ続く