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chapter4 ファーストデート

  • 2012/08/16 16:13
  • Category: 雑記
約束の時間が近付くと私は窓の外からアーサーの姿を探していた。
「あら?イヴ、誰かくるの?」
後ろからフィーナが不思議そうに尋ねる。
Screenshot-403.jpg「えっ?ああ・・・うん。ちょっと・・・ね」
窓を背に隠すようにして誤魔化そうとする。
「・・・今日は休みなのにおしゃれしてる。デートなの?」
Screenshot-404.jpgフィーナって意外と鋭いところがあるのよね・・・。
隠すつもりはないけど、まだアーサーとどうにかなるつもりなんてないから説明するのが面倒なのに。
その時玄関のチャイムが鳴り、振りかえると窓の外には少し緊張した面持ちのアーサーの姿が見えた。
Screenshot-405.jpg「素敵な人じゃない。最近のイヴがすごく機嫌良かった理由がわかっちゃった」
「べっ・・・別に機嫌良くなんかないわよっ!ちょっと誘われたから会う気になっただけ」
「ふうううん。イヴが慌てるなんてめずらしいね」
フィーナの笑顔が迫ってくる。帰ってきたら間違いなく質問攻めにあうに違いない。
「じゃ、行ってくるわね」
急いだフリをして玄関へと向かった。



「お待たせ」
私服姿のアーサーの前に立つと、なんだか妙に気恥ずかしい。
プライベートで会うなんて初めてだから。
そんなことを考えた自分にちょっと驚く。
(アーサーの純情がうつったのかしら・・・?)
「イヴさん、私服姿もすごくカッコいいですね」
アーサーが私を見つめて眩しそうに目を細める。まるで中学生のデートみたいだわ、これじゃ。
Screenshot-406.jpg「そう?アーサーは・・・若いわね」
黒いポロシャツとジーンズという姿からは若さがにじみ出ているようだった。
たった3歳の違いなのに、私服で会うとその違いと見せ付けられたような気になる。
「やっぱり大人っぽい方が好きですか?」
ちょっと悲しそうに目を伏せるアーサー。
私の何気ない一言でそんな風に感情が揺れるアーサーをちょっと可愛いと思ってしまう。
「カッコなんて酷くなきゃどうでもいいわよ」
その言葉でまたアーサーの表情が変わる。今度は嬉しそうな笑顔に。
「で、今日はどこへ連れて行ってくれるのかしら」
ころころ変わるアーサーの顔が可笑しくて笑いながら私は手を差し出した。
Screenshot-408.jpg差し出された私の手を優しくアーサーが包み込む。
Screenshot-407.jpg少しだけ。ほんの少しだけ胸が高鳴った。


ランチして、映画をみて、ウインドウショッピングをして。
普通すぎるほど普通のデート。
以前の私ならこんなマニュアル的なデートをする男を軽蔑してたのに。
アーサーとなら、何故か許せた。
「イヴさんの番ですよ」
今度はビリヤードだ。本当に、笑っちゃうくらい学生みたいなデート。
私はキューの先端にチョークを塗り構える。
Screenshot-391.jpgビリヤードなんてあまりなじみがなくて苦手だったけど、「わかんない~」などと声色を変えて連れの男にしなだれかかる隣の女のようには絶対になりたくない。
素人なりに狙いを定め、ボールを突いた。
「う・・・」
Screenshot-392.jpgボールは惨めなほど狙いと逸れて止まった。
「イヴさんでも苦手なものがあるんだ」
アーサーが可笑しそうに笑う。人を勝手に何でもできる超人扱いしないで欲しいわ。
「悪かったわね!」
「すごく可愛いです」
その言葉に心臓がギュッと締め付けられるような感覚に陥る。
可愛いなんて言葉を久々にかけられたってだけじゃない。あまりに自然に言われたからだ。
言った当の本人は照れるどころかにこにこ笑っているだけ。
全く、変な男。デートに誘うときはあんなにカチコチになって緊張してた癖に。
「馬鹿なこと言ってないで次行ってよ」
Screenshot-393.jpgアーサーがキューを構えるその後ろで、私は小さなため息をついた。
頬が微かに熱い。こっそりと手を伸ばして頬に当てると熱を帯びているのに気がつく。
(こんな年下男の一言でどうして私が赤面しなきゃならないのよ!・・・もう・・・)
ちょっと腹立たしい。でも心地良い。そんな複雑な気分。
アーサーと知り合ってから自分が少しずつ変わっていくような気がしていた。
硬くなっていた心がゆるやかに溶けていくような・・・。
溶けた後の心には自分も知らなかった私がいるようでほんの少し怖かった。



夕食を食べて家へと戻る帰り道をどうしても家まで送ると言ってきかないアーサーと並んで歩く。
あたりはもうすっかり暗くなっている。街頭の光がゆるく隣のアーサーの顔を照らす。
きわだって美男子って訳でもないけど、爽やかで優しい容貌。男にしては細かい所にまで気がつく繊細さを持っている。同年代の女の子からもモテない訳じゃないと思うのに。
Screenshot-398.jpg「ねえ。どうしてこんな年上をデートに誘う訳?うちの会社にはもっと若い子もいるでしょ」
それなりの規模の会社だから若い女の子も沢山いる。それなのに、何故同じセクションでもない私を誘うのかがよく分からなかった。
いますけど・・・。なんていうか・・・その・・・。僕の一部分しか見てないって感じなんですよ」
「K大学卒だからってこと?」
私の言葉に驚いた顔で見つめるアーサー。
「知ってたんですか?」
その問いに微かな笑みで答える。
「そうなんです。・・・K大学だから年収はありそうだとか、将来有望だとかなんとなく勝手にそう思われてる気がして」
アーサーの感じだとおり、自分の仕事に自信が持てない女は笑顔の裏で計算している。特に結婚適齢期に入る20代は顕著だろうと思う。
仕事をしてはみたものの、どうやら出世もできそうにない。だったら将来性のある男と結婚して安定を望む。そういう女を何人も見てきたから驚くこともない。
そんな女からみたらアーサーは間違いなく優良株だろう。
「でも、イヴさんは僕の仕事のこととか大学のこととか一切聞かずに僕自身と向き合ってくれているような気がするんです」
Screenshot-399.jpgまっすぐな瞳で私を見つめてくる。その視線の強さにはまだ答えられそうになくて、私は目を逸らす。
「どこの大学出とかただの記号にすぎないでしょ。いくらいい大学出てても年収があっても一緒にいてつならない男なんて願い下げだわ」
私は仕事ができる男が好きだけど、仕事ができる男=好きなわけじゃない。
「イヴさんのこと、益々いいなって思いました」
「ついこの間知り合ったばかりなのに、よくそんなこと言えるわねえ」
照れ隠しのように私は言い返す。アーサーから飛び出す何気ない一言に戸惑う自分が嫌だと思いながら
慕われて悪い気はしない。
「僕がイヴさんのこと知ったのは随分前ですよ。毎日、朝早くに会社に行って掃除したりたまに花を活けてたりしてる姿に・・・すごく惹かれたんです」
「な・・・」
毎朝のあの時間を知られているとは思わなかった。予想外の言葉すぎて私はとっさに言い返すこともできない。
「みんなの見てないところでそういうことができる女性って素敵だなって」
「・・・そんなに褒めても何も出ないんだからね。じゃあ、ここで」
タイミングよく自宅前にたどり着く。どう答えていいかわからないことばかり言うアーサーからなんだか
逃げ出したい気分だった。
「送ってくれてありがとう」
軽く手を振って背を向けようとするとアーサーが慌てたように口を開いた。
「あのっ・・・イヴさん!また・・・来週も会ってくれますか?」Screenshot-400.jpg一度のデートだけなら付き合いで仕方なく、といえるけど。
二度目ならそうは言えない。それを受けるのは自分も少なからず好意があると公言するようなものなのに。
それを十分分かっているのに、私は・・・。
「OKしないと明日からのランチタイムが大変ね」
Screenshot-401.jpgその答えに安堵したのかアーサーが少しいたずらっぽく笑った。
「そうですよ。ランチ中ずーーっとデートに誘いますから」
顔を見合わせてくすくすと笑いあう。それが承諾の返事だった。
「それじゃ、ね。おやすみなさい」
自分の口から出た声は自分でも信じられないほど優しい。
「はい。おやすみなさい。・・・また明日」
アーサーは私がドアを閉める時までずっと私を見守っていた。まるで自分がか弱い女の子になったような、そんな気分。弱い女扱いされることなんて普段なら絶対に許さないのに。
どうしてアーサーにならされても嫌じゃないのだろう。
閉めたドアに背中をつける。ちょっと自分が自分じゃないみたい。変な感じ。
それにしても、デートで何も手を出してこなかった男なんて何年ぶりだろうと思いながら軽く目を閉じた。
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  • 2012/08/16 21:11

Loveflower888


こんばんわ♪早速のお返事ありがとうございます!
やっぱりhibikiさんでしたか!良かった、間違えてなくて・・・(´▽`) ホッ
本館のシム配布にもコメントくださったhibikiさんもご本人カナ?

hibikiさんのブログはシムサーチさんから見つけて以前からちょこちょこお邪魔させて
頂いてましたw隠れファンですテヘヘッ(*゚ー゚)>
うちのシムを大好きだなんて!めちゃくちゃ嬉しいですヨー!
FC2ブログの方のストーリーも俄然頑張る気がでちゃいました(*゚▽゚)ノ

ブログリンクの件ですが、こんなへなちょこグダグダブログで良ければゼヒ♪お願いします!
ブログ初心者で(ヤフーブログは簡単にできるから始めたようなものですw)リンクのことなんか
全然考えてなくて、ブログ上では触れてませんでした。というよりそんな方いないだろう!と思ってたのでw
だからhibikiさんからのお申し出、とても嬉しかったです∩(´∀`)∩

ヤフーブログのほうでもこちらのブログでもどちらでもOKです!
私のほうからもブロとも申請させていただきますねっ!

今後ともよろしくお願いします☆
  • URL
  • 2012/08/16 23:22

kaorin114

おはようございます♪

思わずFO3の更新を忘れてしまうくらい引き込まれちゃいましたw
あまり小説は見ない派なのですが、とても面白いです(ノ´∀`*)

アーサー君に私までドキドキしちゃいました!
これからも更新楽しみにしています♪
  • URL
  • 2012/08/17 07:39

Loveflower888

kaorinさん、おはようございます&いつもコメありがとうです!

更新を忘れるくらい~なんて嬉しすぎるお言葉゚+.(*ノェノ)゚+
こんな思いつきの拙い小説もどきですが、いつもkaorinさんのコメに励まされてますw

これからも楽しみにしていただけるような記事をUPできるように
がんばります☆
  • URL
  • 2012/08/17 08:48

暇人

純粋なアーサーも可愛いけど
凹むイヴもかなり可愛いですね♪

2人の関係にメッチャ期待しちゃってます!w
  • URL
  • 2012/08/18 22:38

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • 2012/08/19 14:50

Loveflower888

暇人さん、こんにちはー!
イヴの意外に乙女な面を見ていただけて嬉しいですw

先ほどUPしたchater5では二人の関係に変化がっ!ですw
良ければみてくださいませ!
  • URL
  • 2012/08/19 17:50

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Loveflower888

Author:Loveflower888
modで色々キャラメイクできるPCゲーが好き。特に綺麗な男子を作るのが趣味。シムズ3がメインですがskyrimの記事も載せています。
今後はまったり更新。気ままにUPしていきます。

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