スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

chapter2

  • 2012/08/08 16:45
  • Category: 雑記
翌朝私はいつものように1時間早く職場に着く。
一人で掃除をして一日の仕事への意欲を高めるこの時間が好きだった。
部屋全体の掃除を終え、自分の机を片付けようとすると引き出しがすこし開いていることに気がつく。
恐る恐る引き出しを開けると入れておいた資料がビリビリに破られ、ご丁寧にインクまでぶちまけられている。
「・・・まるで子供じゃない」
だから女は嫌いなのだ。こうして陰険なやり方で妨害してくる。
でもこれで傷つくとでも思っているのだろうか。おかしくて笑ってしまう。
こういうことをされる度に私には闘志が沸いてくるんだから。



5.jpg「ご一緒していいですか」
注文を終え、料理を待っていると昨日のハンカチ男が爽やかに声をかけてきた。
「悪いけど、ランチは一人でって決めてるの」
時々こうして一人の私に親切心を起こして近付いてくる人間がいる。
だけどそんな親切心は迷惑なだけだ。
はっきりと断らないとこの手の人間は分かってくれない。
普通はここで去っていくのに、この男はちょっと困ったような表情を浮かべて立ったままだ。
ランチタイムで店内が込み合ってきても男はそのまま立っている。
「席がなくなったみたいです。相席にさせてください」
そういうとにっこりと笑って私の返事を待たずに席に座った。
「意外と強引なのね。爽やかな顔してるくせに」
男の強引さに呆れた私は軽くため息をついた。普通の男ならとっくに逃げ出してるのに。
「こうでもしないとイヴさん一緒にランチしてくれないと思って」
2.jpg男が私の名前を知っていることに驚いた。いくら同じ会社とはいえ、社員数も多い会社でセクションも違ってるえば顔は知っていても名前までは覚えていないものなのに。
「どうして知ってる訳?私の名前」
「素敵な人だなあって前から思ってたんです。だから名前くらいは知ってますよ」
歯の浮くようなセリフをさらっと言うこの男の顔を私はまじまじと見つめた。
3.jpgどこか幼い印象の印象の目元につやのある肌。
グイグイと人の中に入り込もうとする性急さから見ても確実にこの男は年下だ。
男の年下なんて面倒くさいだけ。
適当にあしらっておこうと私は余裕の笑みを浮かべる。
「それはどうもありがとう」
私の言葉を聴くと男ははにかんだように笑った。
「お世辞じゃないですよ」
お世辞でもそうじゃなくてもどっちでもいいの。人と会話して頭使うのは仕事中だけにしておきたいのよ。その想いが伝わるようにアイスコーヒーを飲みながら念を送るけど、全然届いてないみたい。
食事が運ばれてきても、目の前の男は私と何とかコミュニケーションを取ろうと一生懸命話しかけてくる。昼休みにそんな気を使ったら疲れるだろうに。
「昨日のこと、聞かないのね」
趣味のことや仕事のことを話し続ける男は昨日のことには一切触れてこなかった。
大体の人間はトラブルがあったら原因を聞きたがるものなのに。
「ああ、僕イヴさんがひっぱたかれて水かけれらる時に店に来たから。原因とか興味ない訳じゃないけどイヴさん、思い出したくないだろうし」
年下の癖に妙に気を使う男だなと思いながら、ちょっと新鮮な気持ちになる。
面倒なことは嫌だけど、目の前の男は話している分にはそう悪くはない。
それと同時にボスと寝たことがこの男の耳に入らなくて良かったと思う自分に少し驚く。
人の目なんかどうでもいいはずなのに。
黙ってそんなことを考えていると男は綺麗に食事を平らげ、ナプキンで口を軽く拭いた。
「アーサーって言います」
4.jpg「・・・え?」
唐突な言葉に思わず聞き返す。目の前の男は最初に見せた爽やかな笑顔で続けた。
「僕の名前。覚えてくれたら嬉しいです」
あまりに明確な好意を見せられて柄にもなく戸惑ってしまう。
下心のある好意なら慣れているし、流すこともできる。でもこのアーサーという男にはそういった不純なものは一切感じられないのだ。
「また会うことがあったらね。その時覚えるわ」
動揺を感じられまいと私はバッグを取り、席を立つ。
伝票をひったくるように取ると、わき目も振らずに精算を済ませ店の扉を開けて外に出た。
外の風が心地よく頬に触れる。
「なんなのよ・・・あの男は」
そう呟きながら会社へと足を向けた。




「また会えましたね」
翌日同じようにアーサーはランチタイムの店に現れた。
私はそうなることを予感していたような、期待していたような気がする。
会うのが嫌なら店を変えればいいことだった。なのに、昨日と同じ店に来て同じ席に座り、店の扉が開くたびに目を走らせている自分に気がつく。
アーサーが現れたとき、慌てて目を手元にある本に落としたくらいだった。
「しつこいのね。おまけに遠慮しなくなってるじゃない」
アーサーはすぐに私の前の昨日と同じ席に腰を下ろした。
「イヴさんに名前覚えてもらいたかったから」
何の小細工もない、直球の言葉が心地よいと感じてしまう。
でもそんな自分を認めたくなくて憎まれ口を叩き続ける。
「それだけしつこかったら誰でもすぐに覚えるわよ。アーサー」
名前を読んだだけで、アーサーの頬は赤く染まる。びっくりするほど純粋な男。
「私ね、悪いけど年下は興味ないの」
意地悪く続ける。
「そんなに歳は変わらないと思います」
「私は26よ。貴方は22,3ってところね」
「23ですけど・・・たった3つしか変わらないじゃないですか」
必死に食い下がってくる言い方がおかしい。
1.jpg「50や60の3歳違いならともかく20代で3歳違うのは大きいわよ」
「・・・イヴさんは年齢で相手を判断するんですか」
ちょっと拗ねたような言い方でアーサーが詰め寄る。
「ちゃんと中味を見るわよ。でも年下はだいたい今のあなたみたいにムキになるでしょ」
言葉を詰まらせるアーサー。
「じゃあ、ちゃんと僕を知ってください。それから判断してください」
真剣な眼差しで私を見つめてくる。それがムキになってるっていうのに。
でも少しだけなら、この男のことを知ってもいいかもしれない。
読みたい本もちょうど全部読破してしまったし。
なんて理由付けばかりしている私はやっぱりアーサーみたいに純粋になれないと心の中で笑った。
「じゃあランチタイムだけ、時間割くわ」
こうして私とアーサーのランチタイムが始まったのだった。
スポンサーサイト

Pagination

Trackback

Trackback URL

http://lovestorysim3.blog.fc2.com/tb.php/4-c9a2d81a

Comment

kaorin114

イヴ姉さんかっこいい!(´∀`*)

姉さんのアーサーへの反応が面白いですw

がんばれ!アーサー!

ブロとも承認ありがとうございます!
早速、申請させていただきました♪
  • URL
  • 2012/08/08 23:29

きなこママ

Kaorinさん、コメいつもありがとうです!

イヴのクールっぽさが上手く書けているかわからないんですが、褒めて頂けて
すごくウレシー♪です!
アーサーにはもうちょっと頑張ってもらう予定(笑)

ブロともこちらこそありがとうございますノ
今後ともよろしくお願いシマス☆
  • URL
  • 2012/08/09 15:57

Post Your Comment

コメント登録フォーム
公開設定

Utility

profile

Loveflower888

Author:Loveflower888
modで色々キャラメイクできるPCゲーが好き。特に綺麗な男子を作るのが趣味。シムズ3がメインですがskyrimの記事も載せています。
今後はまったり更新。気ままにUPしていきます。

fc2counter

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。