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chapter8 離れる心

  • 2012/08/24 17:27
  • Category: 雑記
「イヴ先輩知らなかったんですか?アーサーさん、ずっと前からかなりの数の会社からヘッドハンティングうけてて、その1つに移ったんですよ」
こんな私でも慕ってくれている部下のティナの言葉を思い出す。
アーサーが突然会社を辞めたその理由を聞きたくて、さっきまでティナと一緒に食事をしていた。
ヘッドハンティングを受けていることなど付き合っている時も知らなかった。
アーサーの仕事が研究職であることは知っていたけど。
(結局、何も知らなかったんじゃない・・・私って)
あんなに一緒にいても知らないことがあったなんて。
Screenshot-465.jpg「お酒ちょうだい」
気持ちの持って行き場を失くして私はアルコールに頼る他なかった。
「カクテル?」
「なんでもいいわ。強いお酒がいいの」
なじみのバーテンダーがちょっと困ったような顔をし、不思議なほど滑らかな手さばきで黄色いカクテルを差し出す。
Screenshot-466.jpg「何があったかは知らないけど、飲みすぎないほうがいいよ。イヴさんらしくない」
「・・・ほっといてよ」
私らしいって何?いつも大人で物分りがいい女?
そんなの周りが勝手に決めたイメージじゃないの。私だって人間なのよ。飲み潰れたいときだってある。
黄色い液体を一気に飲み干すとグラスを差し出して「おかわり」を要求した。
バーテンダーは小さく肩をすくめ、黙って二杯目を差し出した。




Screenshot-467.jpgもう何杯目かわからないカクテルを水のように飲み干す。
お酒にはある程度自信があったけど、今日はピッチが早すぎた。ぼんやりと視界が膜をはったようになり、手元のグラスを落としそうになる。
「いいのみっぷりだね。一緒に飲まない?」
女が一人でヤケ酒している様子をみて、下心まるだしの男が声をかけてくる。
「気安く声かけないでよ。あっちいって」
強く拒むと男は舌打ちしながら他のテーブルへと移動していった。
あんな軽い男、話し相手にだってしたくない。
(・・・アーサーに・・・会いたい)
酔った頭でぼんやりと考える。
アーサーに会いたい。
抱きしめて欲しい。
どんどんこみ上げる思いに私は唇を噛んだ。
そんな思いを振り切るようにカクテルを口に運ぶ。その瞬間、どこからかアーサーの声が聞こえた気がして振り返る。
Screenshot-468.jpg背後の水槽の奥にゆらゆらと見える人影。
(アーサー・・・!)
私は酔いに任せて席から立ち上がる。
アーサーは別れたくないと言ってくれた。なのにどうして強がったりしたんだろう。
プライドばかりが大きくなって、自分の気持ちを押し殺そうとしていた。
強がるのはもうやめよう。
きっと今なら言える。もう一度チャンスが欲しいと。
私はふらふらとアーサーの影に引き寄せられていく。
アーサーの背中が見えたその時。
Screenshot-469.jpg「もうっ・・・アーサーさんってばあ」
甘えるような女の子の声がした。ふと気がつくと、アーサーの傍らには一人の女の子が立っている。
見覚えのある顔。会社の女の子だ。綺麗に巻かれた髪で気がついた。
アーサーと同じ位の歳で、まるでデコレーションされたお菓子のように可憐な子。
Screenshot-470.jpg隣のアーサーも笑いながらそれに答えている。
その笑顔に全身から血の気が引くのを感じた。そこに立っているのがやっとなほどだった。




それからのことはあまり記憶がない。
ただ必死で逃げるように家に戻ったことしか。
部屋に戻っても、あのアーサーの楽しそうな笑顔が何度も浮かぶ。
あの笑顔は少し前まで私だけに向けられていたのに。
別れたくない、そういってくれたはずなのに。
もう新しい恋を見つけて私のことは過去にしてしまった。
Screenshot-495.jpg(自分から別れるって言ったくせに・・・諦めの悪い女)
別れの原因は自分にあるのに、アーサーの変わり身の早さに傷ついている。
まだ、自分を待っていると思ったの・・・?
Screenshot-497.jpg「とんだうぬぼれね」
そう呟いた途端、涙がこみあげてくるのを感じてきつく目を閉じた。
泣かない。絶対に。
あれだけ沢山の強がりを言ってきたのだ。
だからこそ最後の最後まで強がりを通そう。
そして明日からはアーサーのことを忘れよう。
きっとできる。私なら・・・。できるわ。



あれから1ケ月が経った。
私の担当していたプロジェクトは成功を収め、次のプロジェクトを任されただけでなく昇進も手に入れることができた。
ようやく自分が戻ってきたような気がする。
アーサーと出会うまえの強い自分に。
アーサーとのことを思い出さなくなった訳じゃない。今でもふとした拍子に顔が浮かんで胸を締め付ける。
だけど。
その頻度も少しずつ減ってきていた。
Screenshot-474.jpg(もう当分恋愛はお休みするわ)
仕事を終え、私は一人そう呟きながら家路へと急いだ。
今日はいつもより早く家に戻れそうだ。ゆっくりお風呂に入って、そのあと剥がれてきたネイルを落として塗りなおそう。
久々にパックでもしようか。
そんなことを考えながら家にたどり着く。
Screenshot-475.jpgそこに佇む一人の男。私は自分の目を疑った。
どうして・・・ここにいるの。
ようやく忘れようとしているのに、今更何の用なの。
色んな想いが交錯して私はその場から動けなくなる。
Screenshot-476.jpgそしてその男がこちらに気がついて視線が合う。
お互いにただ見つめあう時間が、とても長く感じられた。

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Loveflower888

Author:Loveflower888
modで色々キャラメイクできるPCゲーが好き。特に綺麗な男子を作るのが趣味。シムズ3がメインですがskyrimの記事も載せています。
今後はまったり更新。気ままにUPしていきます。

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