chapter37

  • 2016/04/04 18:19
  • Category: Story
こんにちは♪ 約二年ぶりのstory更新です~!ワーイ♪
一度は投げ出したものの、読んでくださった方の温かい応援コメントでなんとか再開に漕ぎ着けることが
できました。本当に本当にありがとうございます!

今回お試しにストーリーを更新してみてブランクはあったものの、想像していたよりスムーズに
撮影ができたので この感じなら完結まで頑張れそうです^^
最後までお付き合いくださると作者冥利につきる次第でございます。

拍手コメントのお返事も更新しましたので、こちらをご覧ください♪
また今回から「コメントが初めましてからだと書きにくい」というお声があったので 
コメント欄を開放しております。もし良かったらこちらをご使用くださいませ~

では本編スタートです♪(この流れ懐かしい!!笑)




storychap37 (1)
俺が近付いて行くとその男も顔を上げて、まじまじと俺の顔を見つめた。

storychap37 (3)
「お前がジェイクか?」

自分から呼び出しておいて一体何なんだ?こいつは・・・。

storychap37 (2)
「おたく、どちらさん?俺知らなねえんだけど」

「俺のことは知らなくてもマリアのことならよ~く知ってるはずだろ?」

敵意に満ち溢れた視線を投げかけてくる男。
マリア?・・・なるほど、そーゆーことかよ。

storychap37 (5)
「お前マリアの友達か?」

俺の幼馴染のマリアが就職活動と称して田舎から出てきたのがつい数日前。
こいつはそれが心配で追っかけてきた、ってところか。
俺に対して敵対心むき出しなところを見ると、どうやらマリアに片想い中と見た。

storychap37 (1)
「マリアは今どこにいるんだよ?」

「俺の家だけど」

「あああっ?!何だと?!てめえまさかマリアと・・・!!」

勘違いをしたらしい男が今にも殴りかかってきそうな剣幕になる。

「先に言っておく。俺はマリアと幼馴染ってだけだ。それ以上の関係もないし、今後もありえない。俺の家には来たけど、泊まってるのは別棟の女友達のとこだからな」

俺の言葉を聞いて、その男は少し安心したようなホッとした表情を見せた。

storychap37 (7)
「・・・・・・よかった」

一人ごとのように小さく呟く男。

マリア一直線なところを見るとそう悪い奴でもなさそうだ。
それに俺に似て単純ぽいところにも好感が持てる。

storychap37 (9)
「なんなら一緒にマリアんとこ行くか?俺ももうすぐ仕事終わりそうだし」

「・・・っ?!行くっ!連れてけよっ!・・・いや待て!お前、そんなこと言って俺を騙すつもりか?!そんな手には乗らねえぞ!!」

storychap37 (10)

一人芝居のようにくるくると表情を変える男を俺は呆気に取られながら見つめていた。

storychap37 (6)
「何意味わかんねーこと言ってんだよ。お前もどうせ泊まるとこねえんだろ?ぶつぶつ言ってないで付いてこい。田舎モンが都会に一人でいたら身ぐるみ剥がされるぞ」

「っだとーーーー?!お前も元田舎モンじゃねえか!!都会人ぶってんじゃねえぞ!このタコ!お前にはぜってーーーマリアを渡さねえからな!!」

storychap37 (13)
そう言うと男は俺に背を向けて走り出す。

storychap37 (14)
「ばーーーーーーか!まぬけ!おたんこなすーーーーー!!」

storychap37 (11)
・・・・小学生のケンカかよ・・・。

面倒な奴がまた増えやがった。
リサのことだけで頭がいっぱいだってのに。

storychap37 (16)
ああああああああ!超絶めんどくせええええええ!!

storychap37 (17)
叫び出しそうな衝動を何とか抑えて店へと戻った。









storychap37 (18)
一体何だっていうのよ。

将来を誓った幼馴染とやらが来て私とジェイクの仲がめちゃくちゃだ。
何度もジェイクから誤解だっていうメールが来てたけど馬鹿馬鹿しくて返信する気にもならない。

storychap37 (19)
ジェイクとなら。

いつも側で励ましてくれた優しいジェイクとならうまくいくかもって思ったのに。
どうして肝心なときにあんな子に邪魔されなくちゃいけないの。

storychap37 (20)
分かってるのよ。頭では。

あの幼馴染のマリアって子にジェイクは特別な感情を持ってない。
だけど・・・。私の知らないジェイクをあの子は知ってる。
それだけで胸がちくちくして苛立ってきてしまう。

storychap37 (21)
嫉妬ってやつなんだろうな。

そこまで分析できているのに、ジェイクの前では素直になれなくて。
そんな自分にまた自己嫌悪する。

storychap37 (22)
「ねえねえ?いるんでしょ?入ってもい~い?」

今一番聞きたくない声が聞こえて思わず耳を塞ぎたくなる。

「いないから入らないで」

storychap37 (24)
「ちょっと!!それってヒドくない~?大人げないんだけど?!」

勝手に扉を開けて入ってきたのは、あのマリアだ。
この家に泊まるようになって数日が経つけど、全力で顔を合わせないようにしてきたっていうのに。一体何の用だっていうの。

storychap37 (27)
「なによ」

「まだ怒ってるの?あの日言ったことはちゃーんとごめんねって言ったじゃん!大人は若人の過ちを許す寛大さがあって然るべきだと思うんだけど~?」

マリアと初めて会ったときに「私の方が若くて可愛い」というようなことを言われて、それを後で謝罪してきたけど別にそんなことを怒ってるわけじゃない。

storychap37 (26)
「・・・そんなこと、もう忘れたわよ。そんなこと言う為に来たの?」

storychap37 (25)
「ん~とね。そうじゃなくって。私本気なんだ。ジェイクに」

「だから勝手にすればって言ってるでしょ」

「だけどジェイクはリサさんのことが好きみたい。これが問題なんだなあ」

storychap37 (28)
あっけらかんとすごいことを言ってのけるマリア。

なんていうか・・・今時の若い子って・・・そういうことに気が付いたら傷ついたり落ち込んだりしないものなの?
何より恋敵であろう私にそれを言っていくる訳?
理解できない・・・・。

storychap37 (31)
「リサさんはほんとのところジェイクのことどう思ってるの?」

ふわふわとした捉えどころのない笑みを浮かべていたマリアがその瞬間真顔になる。

嘘はつかないでね、とその瞳の強さが私に語りかけてくる。

storychap37 (32)
「私もジェイクのこと好きだって言ったらどうするの」

「リサさんってば、質問を質問で返すのは良くないと思うよ!でも・・・リサさんもちゃんとジェイクのこと好きっていうならそれはそれでいいんだけどね」

「どういうこと?」

私がジェイクのことを好きでその関係に白黒ついてしまったらマリアは失恋することになる。それはそれでいい、とは一体どういう意味?

storychap37 (33)
「たまにいるじゃないですか~。好きでもないくせに自分のこと気にかけてくれる男が側に一人は欲しいって女の人が。そーゆータイプ、自分大嫌いなんで」

私がそういう女で、ジェイクに思わせぶりなことしてたら許せないってことか。

storychap37 (29)
「だからそういうムカつくタイプだったら、ジェイクがいくら好きだろうと渡しませんってことで~す!だからね、今日はそれを言いにきたんだ。うん・・・こーゆーのなんていうのかな?宣戦センコク・・・?ってやつ?」

宣戦布告でしょ、と心の中で軽く突っ込みながら私はマリアを少し見直した。

「ではっ!以上で~~~す!お邪魔しましった~!」

どこまでも明るいマリアの声が扉の向こうに消えていく。

storychap37 (35)
ちゃんと真剣な想いでジェイクと向き合ってないなら譲らない。
マリアの気持ちは言葉は拙いけど、なんて純粋で強い想いだろう。

私にはそれに勝てるほどの強い想いがちゃんとジェイクにあるんだろうか。

私は・・・・・。







storychap37 (36)
今日は珍しく早番定時に仕事を終えることができた。

最近ずっと忙しくて家に戻るのも終電ギリギリだったから。
そんな風に仕事を詰めこんだのも・・・自分なんだけどね。

storychap37 (37)
一人の時間を持て余すとつい・・・レイのことを考えてしまうから。

カフェでレイとマークが取っ組み合いのケンカをした後はレイと顔を合わせることがなくなって、その分レイは何をしているのだろうとか余計なことばかりが頭に浮かんできて。

storychap37 (39)

諦めなさい。

レイは昔の婚約者のことを忘れられるはずがないのよ。
思い出には勝てないの。

storychap37 (38)
駅の時刻表を見ると電車の発車時刻ぎりぎりなことに気が付く。

これを逃すと駅で10分以上足止めを喰らうことになる。

storychap37 (40)
ハイヒールを脱ぎ捨てたい衝動に駆られつつ、私は全速力でホームへと駆け込んだ。

ジリリリリ・・・・。

いつもはのんびりと発車しているイメージしかない電車が今にも扉がしまりそうな勢いでベルがホームに鳴り響く。

storychap37 (41)
ブシューッと音を立てながら扉が閉まり、私は間一髪電車に身を滑らせた。

何とか間にあった・・・。駆け込み乗車とは我ながら大人げないと思いつつ苦笑していると、
一人の男がこちらを見つめているのに気が付く。

storychap37 (43)
・・・・・レイ。

全速力で走ったせいで鼓動が早くなっているところに更に拍車をかける男が現れて、私はどう反応していいか分からずその場に固まってしまう。

storychap37 (45)
普通どおり声をかけるべきなのだろうというのは頭ではわかってる。
でも体は言うことを聞いてくれなかった。

storychap37 (44)
「仕事の帰りか?」

気まずい空気から立ち直ったのはレイが先で。

「・・・ええ。レイも仕事帰り?」

ライターの仕事をしているというレイは取材先か編集部からの帰り道なのだろうか。

storychap37 (46)
「まあ・・・そんなとこだ」

レイが近くのイスに座ったので、私だけ立ち尽くしているのも離れた席に座るのも変に思われそうで隣に腰を下ろした。

storychap37 (49)
近くでレイを見るとやっぱりだめ。

忘れようとしてるのに。クリスマスの夜のレイの体温を思い出してしまう。
仕事に疲れたフリをして私はレイから目を逸らした。

storychap37 (47)
「この間は悪かったな。・・・俺とマークの問題に巻き込んで」

レイから思いもかけない話を振られて少し戸惑ってしまう。
この間のことには触れないだろうと思っていたから。

「マークと待ち合わせしてたんだろ」

storychap37 (48)
答えない私にレイが更に言葉を重ねる。

いつものレイならこんな風に気まずい話題を掘り下げてくることなんかしないのに
それだけマークのこと・・・あの婚約者のことがずっと引っかかっているんだろう。

storychap37 (50)
「大丈夫よ。・・・それに・・・マークは・・・」

マークがしたことは許されることじゃない。
いくら想いを寄せていたからってレイの恋人を奪うようなことは絶対にしてはいけないことだ。
だけど・・・理性では抑えきれない想いだってある。
それが人間だから。

storychap37 (52)
「レイは許せないだろうと思うけど、マークはマークなりの言い分があったんだと思うの。・・・こんなこと私が口出しできる立場じゃないのは分かってる。でも・・・ちゃんと話しあってみた方がいいんじゃないかしら」

あのままレイとマークが互いの真意を理解しないまま、いがみ合い続けるなんてとても悲しいことだと思う。
親友だったという過去があればあるほど。

storychap37 (53)
私の言葉に穏やかだったレイの表情が険しくなっていく。

storychap37 (54)
「自分の恋人が憎まれ続けるのは嫌だってことか?」

「恋人・・・?違う。私とマークはそんな関係じゃ・・・」

storychap37 (56)
「あんたがマークと付き合うのなら勝手にしたらいい。けどな。俺はマークを絶対に許さない」

私が弁解の言葉を口にしようとする間も与えず、レイは席を立つ。

storychap37 (55)
違うのよ。マークがずっと想っていたのは婚約者でも、私でもない。

貴方なのに。

storychap37 (57)
私とマークを乗せた電車は次の駅に止まり、レイはそのまま私に背を向けて電車を降りた。

storychap37 (58)
「・・・どうしたら・・・いいの・・・」

収拾がつかないほど拗れてしまった糸。
解き方が何一つわからず、ただそれを見つめていることしかできなかった。



                                 
                                  chapter38へ続く
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chapter36

  • 2014/07/21 16:12
  • Category: Story
再びこんにちは!久々のストーリーUPです!
先ほど遅くなりましたが、頂いた拍手コメのお返事をUPしましたので、拍手くださった方は
こちらの記事をご覧ください^^


今回ラストのシーンで登場するシムはahiruchanetさんから頂いたシムです。ahiruさんありがとう!
そしてずっと気になっていたクライブもようやく顔全体を作りなおしました。もう何年も前に作ったシムだったので
ジェイクやカイトと並べると違和感があってw
途中で肌色シーンが出てきますので、背後に注意をお願いしますww

ではでは本編どうぞ~!少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。




「話は大体リサから聞いたわ。幼馴染の子なのよね」

chapter35sss (26)
カイトとのデートを終えて家に戻ると、私が戻るのを待ち構えていたようにリサが私に愚痴り始めた。
その内容を聞くと・・・ジェイクの運のなさを笑うしかなくて。

リサのあの怒りようを見たらどう見ても告白する前だったとしか思えない。

chapter35sss (27)
「就活するって目的らしいし、一週間くらいで帰るからその間ここに置いてくれないか?」

お人よしジェイクときたら危機感ゼロで、私までイライラしてきてしまう。
こんな時は好きな女の為に「とっとと田舎に帰れ」くらい言ったっていいはずなのに。
まあ、そんなところがジェイクらしいと言ったらそうなんだけどね・・・。

chapter35sss (28)
「就職活動・・・ね」

ちらりとジェイクの隣にいるマリアに視線を向けると、私を物珍しそうな目で見つめている彼女の視線とぶつかった。

chapter35sss (29)
「思い出した!!!!モデルの人だよね?!この間香水の広告に出てた!」

「・・・そうだけど。お願いだから大声を出すのはやめて。この家にいたいならね」

若い女の子特有のキーキー声でわめきたてられると頭痛がしてきてしまう。
それにさっきからマリアがカイトに馴れ馴れしくしているのも気に入らない。
幼馴染だからっていうのもわかるけど、ちょっとボディタッチが多すぎるんじゃないの?

chapter35sss (30)
「いいのか?」

カイトが私に尋ねる。ホテルもとっていないって言うし、このまま放り出すわけにもいかないだろう。
そうは思うものの、マリアがさりげなくカイトの服を掴んでいるのが物凄く気に喰わない・・・。

「しょうがないでしょ。ただし条件が3つあるわ」

chapter35sss (31)
「条件??お金ならないからね!」

何を勘違いしたのか、マリアがジェイクの後ろに隠れながら言った。

chapter35sss (32)
「誰もそんなこと言ってないわよ。いくら幼馴染って言ったってここにはレイもいるの。男だけのところに女の子を一人泊まらせることはできないから、私達の家に泊まること。それからさっきのリサに対する暴言をきちんと謝罪すること」

条件の一つ一つに承諾するような頷きを返していたマリアが不安そうに口を開く。

chapter35sss (33)
「あと一つは・・・?」

chapter35sss (34)
「さっきも言ったでしょ?キーキーわめかないで。いい?」

chapter35sss (35)
「うん!いいよ!それなら何とかできると思う!」

既に十分うるさいんだけど・・・。
でもこうして話してみると素直だし、そう悪い子でもないかな。


chapter35sss (36)
「リサ怒ってるから。ものすごく」

ジェイクにそっと耳打ちすると、ジェイクは深いため息をついた。

「そうだよな・・・。くそっ!あと少しだったのに・・・」

chapter35sss (37)
「早いとこ誤解を解かないと他の男に持っていかれるわよ」

「ほ、他のおとこっ?!」

リサもジェイクのことを好きなようで、そんな男の影は見あたらなかったけどジェイクを手っ取り早く行動に移させるにはこう言うのが一番いいはず。
嘘も方便、ってやつね。

chapter35sss (38)
「リサは可愛いからね。何人かいるわよ。モデルに男友達、それに最近は同じヘアメイクの男とかね」

「・・・・・・・・」

ふふ。悩んでる、悩んでる。
これくらい発破をかけないと駄目なんて、世話が焼ける男ね。まったく。











ぼんやりとしていた意識がようやく戻ってきた。

マークの「サラから誘ってきた」という言葉に耐え切れなくなった俺は浴びるほど酒を飲んで・・・。

chapter35sss (17)
そして今どこかでひっかけてきたらしい見知らぬ女を抱いている。

chapter35sss (16)
「ふふっ・・・そんなに力を込めなくても私は逃げないわよ」

俺の首に手を回した女が自分の魅力に俺が惹かれたとでも思ったのだろう、満足げな表情を浮かべた。

chapter35sss (18)
男というものは女より遥かに打たれ弱い。
だからこそ、こうして俺は見知らぬ女に温もりを求めている・・・。

chapter35sss (19)
女の肌に舌を這わせると同時に女は甘い声を上げた。

その瞬間俺の頭にカレンの白い肌が浮かんで離れなくなる。
女に裏切られたというのに、俺はまだカレンのことを忘れられずにいる。自分の馬鹿さ加減に笑いさえこみ上げてきた。

chapter35sss (20)
「・・・どうしたの?」

急に動きを止めた俺に女が不審げな視線を向ける。

chapter35sss (21)
「酒を飲みすぎた。悪いが続きはできそうにない」

chapter35sss (22)
俺の言葉に自分が馬鹿にされたと感じたのだろう。女が散らばった服を身に付け、憎々しげな目で俺を睨みつけた。

「その気がないなら誘わないでよ!最低な男ね!」

女の罵り声を聞きながら俺はようやくここがモーテルだと気が付いた。

chapter35sss (23)
安っぽい女に、モーテル。そして最低な男。完璧すぎる調和だ。似合い過ぎて反吐が出る。

本当は、分かっていた。そうではないかと思っていた。
サラが自分からマークを誘ったのではないかと。
薄々そう感じていながら、俺はそれを認めたくはなかったんだ。
だってそうだろう。
惨めすぎるじゃないか。

chapter35sss (24)
「私はマークが好きなの!貴方には悪いと思っているわ。でも自分の気持ちに嘘はつけない」
サラとマークに詰め寄ったあの時。サラははっきりと俺にそう言った。

本当はあの時に既に気が付いていたのかもしれない。サラから行動を起こしたことを。

chapter35sss (25)
ようやく心の整理が付いてきて一歩前に踏み出そうとしていた時だって言うのに。
親友だったはずのマークは何故こんなに俺を苦しめる。

マーク、教えてくれ。お前は一体何を考えているんだ・・・。






chapter35sss (1)
今日の撮影にはシャロンが来る。

それを知って私の心はざわざわと揺れ始めた。
やる気があるわけじゃないのにそれなりに仕事のオファーもきて、気のないフリをしていたくせにあっという間にカイトとくっついている。この周辺のカフェやショッピングモールで何度も二人一緒の姿を見かけたから間違いないはずだ。

chapter35sss (2)
どうして?
そうして彼女だけ。私の欲しいものを全部奪っていくの。

重くなる気分を引きずりながらスタジオに入り、メイクルームに近付いた。

chapter35sss (3)
「今日来るんでしょ?あの子」

chapter35sss (4)
「ああ、エマね。私ほんっとキライ。仕事だって何回盗られたかわかんないくらいよ」

扉の向こうからモデル同士の悪口が聞こえる。こんなこと言われたくらいじゃ私は傷つかない。
だって負け犬の遠吠えだもの。

chapter35sss (5)
「シャロンもそう思うでしょ?」
その声に私は身を硬くした。シャロンがここにいるとは思わなかったから。

chapter35sss (6)
「別に。どうでもいいわ」

「えー?だってあの子雑誌のお偉いさんとすぐ寝て仕事取ってるんだよ?」

「そうよ、モデルじゃなくってコールガールやったほうがいんじゃないの」

侮蔑のこもった声。こんな風に陰で言われていることは知っていた。

chapter35sss (8)
私は自分を売り込むことはある。でも一度たりとも寝たことはない。
モデルを決める決定権をもっている人間に自分をアピールすることは当たり前ではないか。
自社の商品を売り込む営業マンと何が違うというのか。

chapter35sss (7)
「・・・そんなに気に入らないんだったらエマに直接言えば。陰でこそこそ言うのって嫌いなの」

シャロンの強い口調にメイクルームが一気に静まりかえるのが扉の外からでもわかった。

「じゃ先に行くわね」

扉に近付いてくるシャロンと顔を合わせたくなくて、身を隠す場所を探したけどとっさには見つからない。
メイクルームと出てきたシャロンと鉢合わせしてしまう。

chapter35sss (9)
「立ち聞き?趣味が悪いんじゃない」

シャロンのこの余裕。
私のことが本当はキライなくせに悪口をかわすようなマネをして、歯牙にもかけない態度に苛立ちが募る。

こんな風に上から見下ろされるなら、あのモデルのように思い切り悪口を言われたほうがマシだ。

chapter35sss (10)
「・・・・そうやって私のことあざ笑ってるんでしょ。カイトも仕事も全部取ってやったって。自分の方が上だから、あんな風に私のことかばったりできるのよね」

「前から思ってたけど・・・」

「何よ」

chapter35sss (11)
「あなたって常に誰かと自分を比べて、勝っただの負けただの言って疲れない?行動の基準が常に他人だから、いつも何かに怯えて焦ってる。自分を見失ってるわ」

chapter35sss (12)
「私に説教するつもり?!あなたに関係ないでしょう!」

chapter35sss (13)
「そう、関係ないわ。でも・・・同じモデルとして認めてるから言っただけよ」

chapter35sss (14)
悔しいけどシャロンの言う通りだった。私はいつだって自分をシャロンや他のモデル仲間と自分を比べて仕事をしてきた気がする。

そして・・・時々息苦しさに声を上げたくなることがある。
一生懸命仕事をこなして順調にキャリアを積んできているのに。

いつか足元から崩れそうな不安が押し寄せてきて。

chapter35sss (15)
それが「自分を見失っている」ということなのだろうか。

でも私は周囲のモデルに勝つことを目標にして仕事をしてきたのだ。

今更変わることなんか・・・できない。








chapter35sss (39)
「はあ・・・・・。返事なしかよ」

リサに慣れない絵文字を多用してメールを送ったものの、携帯のメール受信BOXは新着なしを示している。マリアとのことを相当怒っているとは思って覚悟はしてたけど、普通そこまで気にするか?!
俺とマリアはただの幼馴染だぞ・・・。

chapter35sss (40)
うまくいきそうになると邪魔が必ず入るよな。呪われてるんだろうか・・・俺。

chapter35sss (41)
「ジェイク、知り合いが来てる。お前のこと呼んでるぞ」

店長のクライヴの声に俺は飛び上がる。

chapter35sss (42)
まさか?!リサが機嫌を直して店に来てくれたとかか?!

chapter35sss (43)
「なんか勝手に喜んでるみたいだけど、男だから。残念でした」

「・・・・。男?お呼びじゃねーんだよ!!・・・つーか誰だ」

「さあ。なんか学生みたいなカンジだったけどな。店の外で待ってるから早く行ってやれ」

学生みたいな男?思い当たるフシが全くない。
まあ、行ってみりゃわかるだろ。



chapter35sss (44)
店の外に出るとクライヴが言っていた「学生みたい」と言った意味が飲み込めた。

chapter35sss (45)
若い。まだ20そこそこだろう。ちょうどマリアと同じくらいの歳だろうな。

でもこいつが何で俺のことを呼びだしたんだ?こんな奴、俺は知らないし会ったこともない。

chapter35sss (46)
とにかく話を聞こうと俺はそいつに近付いて行った・・・・。




                                   chapter37へ続く

chapter35

  • 2014/06/18 15:03
  • Category: Story
こんにちは!今日はストーリーの更新になります。

今回場面転換が多くて撮影が本当に大変でした^^;代わり映えのしない構図のSSが
続いてしまってちょっと反省。
でもとりあえず更新できたので、良かったww
これが終わったらコミュイベ用のセクシーポーズを自作してみようと思ってます♪

ではでは本編にいきますね~
少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。



storychap35-1 (1)
隣で映画に夢中になっているリサの長い髪が俺の肩に触れる度、映画のことなんか頭から消えてしまう。

観たかった映画なのにまるで頭に入ってこない。
恋愛映画だと狙いすぎだと思われると思って、折角好きなアクション映画にしたってのに。

storychap35-1 (2)
告白する前からこんなテンションでどうする。
男ならもっと落ち着け!
どんな答えでも受け止める覚悟はできてるんだ。今更ジタバタしたって何にも変わらない。

そう自分に言い聞かせてもバクバクと跳ねまくる俺の心臓はまるで言うことを聞いてくれない。

storychap35-1 (3)
「面白かったね~!・・・・ジェイク?」

「え?ああ・・・。そ、そうだな!すげえスタントだったなあ~」

内容なんかほとんど憶えていないってのに、リサに問いかけに慌てて頷く。

storychap35-1 (4)
「ジェイクの作ってくれたフルーツタルトもすっごく美味しかったし、幸せ~♪買いに行ってもいっつも品切れしてるんだもん」
storychap35-1 (5)
「だから食いたい時は俺に直接言えって言ってるだろ。売り切れたって帰りに作って持ってきてやるから」

リサは細い体に似合わず沢山食べる。
特にスイーツには目がないようで、俺の作ったものはなんでも美味しいとぱくぱく食べてくれる。それが俺にとってはすげえ嬉しくて。

ダイエットだの、美容に悪いだの言って食わない女ほどつまんねーもんはない。

storychap35-1 (6)
「でも仕事で疲れてるのにまた作ってもらうのって気が引けちゃうから言えないよ」

「だから・・・俺がいいって言ってるだろ」

「ありがと。でも私が太ったらジェイクの責任だからね」

笑ってそういうリサの笑顔が眩しい。

storychap35-1 (7)
「責任ならいつでも取ってやるから心配すんな」

リサが少々太ったところで可愛いのは変わりない。いや、却って他の男の目から遠ざけられる分そっちの方がいいのかもしれないな・・・なんてバカな考えがわりと真剣に浮かんでしまう。

storychap35-1 (8)
「・・・・責任取るって。何言ってんの、ジェイク」

俺の言葉に驚いた表情を浮かべるリサ。
こいつ・・・本当に鈍いのか、それとも小悪魔なのか?!

俺の気持ちなんかとっくに分かってるだろ。

storychap35-1 (9)
「だからいい加減気がつけよ。わかんねーフリしてるだけだったら怒るぞ」

storychap35-1 (10)
「・・・・ちゃんと言ってくれなきゃわかんないって言ったでしょ」

拗ねたように目をそらすリサは今すぐにでも抱きしめてしまいたいほど、可愛いくて。
もう小悪魔でもなんでも構わねー!!

storychap35-1 (12)
「俺お前のことが・・・」

好きだ、と言おうとしたその瞬間に家の扉が勢い良く開いて飛び込んでくる女がいた。

storychap35-1 (13)
「ジェイクッーーーーーーー!!!やっと会えたっ!」

呆気に取られている俺の腕のしがみつくその女は・・・。

storychap35-1 (14)
「マリア?!お前っ・・・なんでここに?!」

「決まってるでしょ!ジェイク全然連絡くれないんだもん!将来を誓ったお嫁さんに対して冷たすぎるんじゃない~?」

「将来って・・・おま・・・」

マリアのその言葉を聞いた途端、隣にいるリサの視線がすっと冷たいものに変わっていくのが分かった。

storychap35-1 (15)
「リ、リサ!こいつは幼馴染のマリアだ。付き合ってもねーし、許婚とかそんなんでもねーから!」

storychap35-1 (16)
慌てて弁解する俺に冷たい視線を向けたままのリサに思わず冷や汗が出てくる。

storychap35-1 (17)
「ちょっとお~?ジェイクそんな言い方ないでしょ?俺のお嫁さんにしてやるって言ってくれたじゃない!嘘つき!!」

storychap35-1 (18)
「は?!そんなこと言ったのはガキの頃だろうが!しかもお前が言わせたんだろっ」

storychap35-1 (19)
俺の家の近くに住んでいたマリアはガキの頃よく俺とカイトの後をくっついてきた。

何かあるとすぐ泣くマリアを宥めていると「ジェイクのお嫁さんにしてくれるなら泣き止む」と半ば脅迫されたようなもんだったのに、それを俺が言ったことになってんのか?!

storychap35-1 (20)
「それよりこの人だれ」

マリアがじっとリサを見つめる。その目はどう見ても臨戦態勢で、穏やかじゃない。

storychap35-1 (22)
「お、俺の・・・」

彼女だ、と言おうとしてでもまだリサからの答えを聞いていないことに気が着く。

「友達・・・だ」
友達、と聞いたリサの視線が益々険しくなる。ちょっと待てよ!!俺は一体どういったら正解だったんだ?!!

storychap35-1 (23)
「ふ~ん。けっこう歳いってるよね。私の方が髪も肌もツヤツヤだもん」

「ライバル意識燃やされても、迷惑なの。私はジェイクのことなーんとも思ってないからどうぞご心配なく」

リサとマリアの間に・・・今・・・火花が散っていたように・・・見えた・・・。

つーか待て!!俺のこと何とも思ってないって、一体どういうことだよ??!

storychap35-1 (24)
「ちょっとリサ!待てって!」

背を向けて家から出て行こうとするリサを必死で止める。今ここで帰らせたら誤解が解ける気がしない。

storychap35-1 (26)
「二人でお話したいでしょ?お嫁さんなんだから。私は邪魔者みたいだから帰るわね」

にっこり笑顔を作るリサは怖すぎる。
女ってのは怒りがピークに達するとこんな風に他人行儀に振舞う。
それを放っておくと爆発して手がつけられなくなる。

storychap35-1 (25)
「違うんだって!ガキの頃の口約束だよ、そんなの。よくあることだろ?」

「口約束でも本当の約束でも私には関係ないから。じゃあね、ジェイク」

「ちょっと待てって!!」

storychap35-1 (27)
追いかけていこうとする俺の腕をマリアが強い力で引っ張った。

「ジェイクと私はもうキスまでした仲なんだからね!!邪魔者が入る隙間なんかないのっ!!」

「マリア!!お前いい加減にしろよ!!」

storychap35-1 (28)
「だって本当のことだもん!」

「あれは勝手にお前が・・・・!!リサ、違うんだ、聞いてくれ・・・・ってもういねーじゃねーか!!」

storychap35-1 (29)
完全に終わった・・・・。そう思ったら体中の力が抜けてきて俺は頭を抱えながらソファに座り込む。

マリアとキスをしたことは確かにある。でも断じて俺の意志じゃない。
俺が住んでた街を出て行く時にマリアにふいうちで喰らったものだった。男として情けなさすぎるが、マリアの行動はいつも突拍子がなく予測できるもんじゃない。

storychap35-1 (30)
「・・・ジェイク、あの人のこと好きなんでしょ」

「ああ!そうだよ!悪いか」

「悪いもん。私なんかずっーーーーっと前からジェイクのこと好きだったんだから!!私の方が先なの!」

storychap35-1 (32)
「俺は物じゃねーっつーの・・・。マリア、お前何しに来たんだよ」

「私もそろそろ就職の情報集めしなきゃって思ったの。今ちょうど大学休みだし」

マリアは確か今20歳で地元の大学に通っていたはずだ。就職活動と聞いて嫌な予感が頭をかすめる。

storychap35-1 (33)
「おまえ、まさかこっちで仕事しようとか思ってんじゃねーだろうな?」

「その通り♪都会のほうが仕事も多いし、お給料もいいでしょ!それにジェイクに変な女が寄り付かないように見張ってなきゃだし」

「・・・で、宿泊先は?どこのホテルだ?」
鬱陶しいとは思いながら、妹のような存在のマリアを放り出すわけにもいかず尋ねた。

storychap35-1 (34)
「え?そんなのないよ。ここに泊まる予定に決まってるじゃーーん」

あっけらかんと言うマリアに俺の頭痛は益々酷くなっていく。

「ここは俺の家じゃねーんだよ。友達の借りてる家を又借りしてんだ。そいつにちゃんと許可とらないと、ここには泊まれない」

storychap35-1 (36)
「じゃあその人に許可もらってくる。どこにいるの?」

「今カイトとデート中だ」

「ええ~?!カイトの彼女なの?!・・・・へえ~~あの変わり者のカイトにもついにちゃんとした彼女ができたんだ~!!」

storychap35-1 (37)
「お前・・・少し黙れ」

痛む頭を押さえながら俺は深い深いため息をついた。










sotrychap35-2 (1)
「かっこ悪いところを見せたね。悪かった」

薄く笑いながら口元についた血をぬぐうマーク。
先ほどのカフェでの喧嘩を思い返せば返すほど、マークの取った行動は理解できなかった。

sotrychap35-2 (2)
「大丈夫?タオル、濡らしてこようか?」

「いや、もう平気だよ。それより俺に話があったんだろ?」

sotrychap35-2 (4)
「・・・・どうして、あんなにレイを挑発するようなことを言ったの?」

二人の間に起きたことはただレイの婚約者を奪い合っただけとはとても思えない。
そんな風に思ってしまうほど、マークはレイに対して酷い言動を繰り返していた。

それはどこか・・・自分の気持ちに気が付いて欲しいというサインのように思えてしまって。

sotrychap35-2 (3)
「別に・・・。ただの喧嘩だよ。お互い過去のことにまだ拘っているんだろう」

「拘っているのは貴方の方じゃないの?」

私の言葉に伏せていた顔を上げるマーク。

sotrychap35-2 (5)
「どういう意味かな」

sotrychap35-2 (6)
「私・・・・貴方を呼び出したのは関係を終わらせるつもりだったのよ。貴方は素敵な人だけど、気持ちに応えることはできないって思ったの。でも・・・きっと貴方は私のこともサラさんのことも好きじゃない。貴方が好きなのはレイね」

sotrychap35-2 (8)
「何を・・・言ってるんだ。言っていることがよくわからない」

私の指摘に、初めてマークのポーカーフェイスが崩れた。表情に焦りが滲んでいるのが分かる。

自分の予想が当たったことを知って、私は何故マークがあれだけレイに対して不可解な行動を取っていたのかその全てに納得がいった。

sotrychap35-2 (9)
「自分の気持ちは自分が一番分かっているはずよ。・・・さよなら、マーク」

マークに背を向けて歩き出す。私はそのまま一度も振り返らなかった。









storychap35-3 (15)
強い酒をどれだけ飲んでも全く酔いが回る気配がない。嫌なことを忘れようと酒に逃げることすら、俺には許されていないらしい。

(貴方が好きなのはレイね)

先ほどのカレンの言葉が頭の中に蘇る。

storychap35-3 (16)
その通りだった。俺が好きなのはレイただ一人だけだ。

レイと俺は気があってよく一緒につるんでいた。だからレイが同性を好きになる可能性などこれっぽちもないことは俺が一番よくわかっていたのに。

叶うことはないとわかっていても、気持ちを止められるものではなくて。

storychap35-3 (17)
決してレイには言えないことだと、自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど想いは強くなっていく。
そんな時だった。

レイが嬉しそうに婚約者だとサラを紹介したのは。

storychap35-3 (1)
「お前には一番最初に報告しなきゃいけないと思ったんだ」

レイのその言葉は嬉しかったが、同時にどこまでも俺を傷つけるものだった。
レイにとって俺はただの友人。それが親友と呼べるものであったとしても、二人の間には決して恋愛感情などは生まれない。

storychap35-3 (2)
それでも。その時の俺はレイの幸せを一番に願い、親友としてのポジションに甘んじようと決めレイの婚約を祝福した。

それを壊したのはあの婚約者サラだ。

storychap35-3 (3)
「マークに相談したいことがあるの」

レイの仕事がようやく軌道に乗り始め、新しい作品を次々に作らなければいけないという時サラは俺に幾度となくそう相談を持ちかけてきた。

storychap35-3 (4)
その相談のほとんどがレイが仕事ばかりして自分を省みないというもので、その相談を聞けば聞くほどに俺はサラという女の自分勝手さに内心腹を立てていた。

婚約までしているというのに、これ以上何を望むというのか。
レイのことを見守ってやるのが婚約者という存在ではないのか。

だがそれをおくびにも出さず、根気強く俺はサラを励ました。全てはレイのためだと言い聞かせて。

storychap35-3 (5)
ある夜、俺の家に泣きながらサラがやって来た。
俺は嫌な予感がするのを抑えながらいつものように泣きじゃくるサラの愚痴を聞いてやった。
storychap35-3 (6)
「私・・・マークみたいな優しい人を好きになればよかった」

storychap35-3 (7)
「レイは優しい奴だよ。不器用なだけなんだ。わかってやってくれ」

タクシーを呼ぼうと俺が席を立ったその時。サラは俺の背中に縋りついた。

storychap35-3 (8)
「レイは私より仕事の方が大事なのよ。私には貴方みたいないつも側にいてくれる人の方がいいの・・・」

storychap35-3 (9)
「サラ・・・手を離してくれないか。レイは今一番大事な時期なんだよ」

「貴方が好きなの!!もう分かってるでしょ?私の気持ちは・・・もう・・・レイにはないのよ」

最低な女だった。俺とレイの仲を知っていながら、自分のことだけしか考えていない。浅はかでどこまでも狡猾な女。
そんな女がレイの大事な存在であることが、俺には許せなかった。

storychap35-3 (10)
サラの手を突き放すことは簡単だった。だがそうすればこの女はしゃあしゃあと何食わぬ顔でレイの隣に居座るだろう。それを考えるだけで吐き気すらしてくる。

この女をレイから離さなくてはいけない。たとえ、俺が憎まれることになろうとも。

storychap35-3 (11)
俺は覚悟を決め、サラの手を取った。





あとはあっけないほど簡単に事が進んだ。

storychap35-3 (12)
甘い言葉を耳元で囁くと簡単にサラは落ちて、俺と一緒に暮らすようになった。
同じ空気を吸うことすらおぞましい女だったが、レイの為に俺は耐えた。

storychap35-3 (13)
一番辛かったのは・・・・。このことがレイに知れたときの、レイのあの目・・・・。

storychap35-3 (14)
親友と婚約者を一気に失ったレイの気持ちは俺には痛いほど分かった。俺もそれだけ大事なものを
永遠に失ったのだから。

それでも。俺は今でもあの行動を後悔していない。サラは・・・あの女はレイの側にいてはいけない女だった。

storychap35-3 (18)
「・・・・カレン、なら」

あの女なら。

storychap35-3 (19)
俺は許すことができるのだろうか・・・・・・・・。



                                    chapter36へ続く

chapter34

  • 2014/05/27 21:09
  • Category: Story
こんばんは♪
今日は(やっと)ストーリーの更新です。だいぶ佳境に入ってきているので
話を進めるのがちょっと大変になってきました。
次回までなるべく間が空かないようにしたいのですが、ショートストーリーもやりたいものが
浮かんできてしまってw
でも暫くは本編に集中しますね^^

先日頂いた拍手コメントのお返事は次回にさせて頂きます。

ではでは本編スタートです。ごゆっくりどうぞ~♪



どうしてこんなにタイミングが悪いの。
レイとまともに話せたのも久しぶりだったのに、待ち合わせ相手だったマークが現れてしまった。

chapter34ss (1)
「俺にもその話、聞かせてくれよ」
レイとマークの間には張り詰めた空気が漂い始め、隣のレイが瞬時に身を硬くするのがわかる。

chapter34ss (2)
それはマークに対しての怒り。そしてそれだけ婚約者のことを愛していたということなのだ・・・。
わかってはいても胸が苦しい。

chapter34ss (3)
「お前に話すことは何もない。とっとと俺の前から消えてくれ」

レイは怒りを秘めた声でマークにそう言い放つ。
嫌悪を隠そうとしないレイに対して、マークはいつものように落ち着き払った余裕の態度で応じる。

「それは残念だな。お前の話には興味があったんだが・・・。それと、レイ」

chapter34ss (4)
「何だ」

「俺はカレンに呼び出されてここに来てる。消えるのはお前の方だ」

chapter34ss (5)
「・・・・・・」
レイがマークから私に視線を移す。

そう。私がここにマークを呼び出した。でもそれは・・・・。
レイが考えているような関係じゃない。

やっぱり好きなのはレイだという自分の気持ちをもう隠せなくなったから。
マークとの中途半端な関係は今日で清算するつもりだった。

chapter34ss (7)
「そういう・・・ことなのか」

小さな声でレイが呟く。
そういうこと。レイが言っているのは私とマークは切れていなかったということなのだろう。
そうだとも、違うとも言えず沈黙しているとそれを肯定と取ったらしいレイは、悲しげな瞳で私を見た。

chapter34ss (6)
やめて。お願いだからそんな目で私を見ないで・・・。

chapter34ss (8)
「お前がカレンに何を言ったのかは知らないが、邪魔するのだけは辞めてくれよ。それともサラのことを根に持っての意向返しのつもりか?」

「何だと・・・?」
挑発的な言葉にレイがぴくりと身を震わせる。

chapter34ss (9)
「サラを俺に奪われて悔しかったんだろ?だから俺からカレンを取って復讐を・・・」

「黙れっ!!!」

chapter34ss (11)
レイの怒りが爆発した瞬間だった。
強い力でマークを殴りつける。

「・・・・っ!!」
マークが声にならない呻きを上げた。

chapter34ss (12)
「レイ!やめてよ!」

私の制止も耳に入らない。レイの怒りは沸点を越えてしまったのだろう。

chapter34ss (13)
「やってくれるじゃないか。俺が憎いか?俺は逆に感謝して欲しいとこだぜ、サラみたいなくだらない女と結婚せずに済んだんだからな。教えてやるよ。サラはな、自分から俺の所に来たんだ。レイは仕事に夢中で寂しいから抱いてくれって」

chapter34ss (14)
突然のマークの言葉に私も頭が真っ白になる。

どういうこと・・・?

マークがサラのことを好きで奪ったわけじゃないの??
サラから誘ったなんてそんな・・・。

「マーク!お前っ!!」
レイがマークに馬乗りになって拳を振り上げる。

chapter34ss (15)
「やめてって言ってるでしょっ!!」

私の声などもう二人の耳には届いていない。もみあったまま、二人は殴り合いをやめはしなかった。

「オーナー!!!ケンカですっ!」
カフェの店員の悲鳴にも似た声が聞こえ、店の奥から一人の男性がこちらへ向かって走ってくるのが見えた。

chapter34ss (16)
「何してるんだ。いい加減にしろ!」

chapter34ss (17)
レイの長身にも負けないほど背が高いその男は、攻撃的な目をしたレイを背後から羽交い絞めにした。

レイとマークの間に僅かな間隙が生まれ、私はその間に入り込んで二人を制止する。

chapter34ss (18)
それでも二人の目は互いを睨みつけあっていて、その視線に秘められた憎しみの強さに胸が痛む。

二人は親友だったはずなのに。
どうしてこんなことになってしまうの。

chapter34ss (19)
「いい大人がこんな所で乱闘か。殴り合いたかったら人のいない所でやれ」

二人の間に入ってくれた男性が苦々しい顔で言う。
女性店員からオーナー、と呼ばれていたところを見るとこの店の経営者なのだろう。

chapter34ss (20)
「・・・・・・」

マークもレイも黙ったままで返事をしない。

「ご迷惑をおかけしてしまって、すみませんでした」

男性に私が謝罪すると、レイは黙ったまま背を向けて店からゆっくりと離れていく。

chapter34ss (21)
レイ・・・・・。

こんな喧嘩はして欲しくはなかったけど、マークのあの酷い挑発を受けたら誰だって攻撃的になってしまうだろう。
婚約者を愛していればいるほど、その怒りは強かったはずだ。

chapter34ss (22)
遠ざかっていくレイの背中を複雑な想いで見つめていると、マークもまたレイの背中を見つめていることに気が付く。

その目に先ほどまでの憎しみはない。
切なげでどこか弱々しい視線。

chapter34ss (25)
・・・・・・・・・まさか。

マークの視線に私は一つの答えに行き当たる。

chapter34ss (23)
マークが本当に欲しかったものは。レイの婚約者でも私でもなく、レイだとしたら。

chapter34ss (24)
マーク。・・・・あなたの欲しかったものは、一体何なの・・・・?


















chapter34ss (26)

chapter34ss (27)

chapter34ss (28)
シャロンの笑顔を見るのが好きだ。

chapter34ss (29)
モデルとしての職業的な笑顔ではない、ありのままの笑顔を見る度にどんどん惹かれていく自分に気が付く。

こんな可愛い所があったのかと、一緒に時間を過ごせば過ごすほどシャロンの本当の姿が見えてくる気がする。



「俺、ギャルソンを辞めることにした」

chapter34ss (30)
「え?あの店を辞める・・・ってこと?」

デート中の突然の告白にシャロンは驚いた表情を向けた。
ジェイクとオーナーであるディーノさん、店長のクライヴには今月いっぱいで仕事をやめることは伝えてある。
chapter34ss (31)
「ああ。親父の店を継ぐことにしたんだ」

あれだけ嫌がっていたはずの跡取りを何故する気になったかといえば、一番の理由は親父の入院だった。

何かの病気があったわけじゃない。ただの過労だと診断されただけだったが、子供というのはいつまでも親が元気だと思いこんでしまう。

chapter34ss (32)
親父の緊急入院の知らせを受けて、俺は今までにないくらい動揺した。

このまま親父が死んでしまったら、なんて縁起でもないことを考えて。

親父が命に別状がないことを知ったとき、俺は親父の仕事を継ぐことを決めた。
やりたいことを探す、なんて子供じみた我侭を言える子供時代は終わったのだと。

chapter34ss (33)
「カイトのお父さんてお店やってたの?」

「吹けば飛ぶような小さな店だよ。大した規模じゃないし、俺にもできるかと思って」

親父の会社はそれなりの規模の会社だったが、シャロンにはまだそれを言う時期じゃないと俺は言葉を濁した。シャロンのことは好きだ。大切にしたいからこそ、余計なものが付いた俺を見て欲しくない。

chapter34ss (35)
以前のシャロンとはもう違う。それは分かっている。
でもまだ会社のことは言いたくなかった。

chapter34ss (36)
「そう。新しい環境になると大変になるだろうけど・・・応援してる」

chapter34ss (37)
「・・・この歳でやり直しかと思うと気が滅入る」

シャロンの優しい言葉に照れくさくなって俺はそんな言葉を発してしまう。

「年寄りくさいこと言わないで。自分が変わりたいと思ったらいつだって人は変われるものなんだから」

chapter34ss (38)
シャロンが今までの女と決定的に違う所がある。
それは俺を甘やかしたりしないところだ。叱咤激励しながらうまく俺のテンションをあげてくれる。

chapter34ss (39)
このままいったらシャロンの尻に敷かれてしまうだろうなと思いながら
それも悪くないと一人心の中で呟いた。









chapter34ss (40)
「よお、シャロンじゃねーか。随分と楽しそうだな」

カイトとのデート中にそう声をかけてきた男には見覚えがあった。

chapter34ss (41)
以前付き合っていた有名な政治家の一人息子。見た目も悪くなく金もうなるほどもっていたけれど
独占欲が強く下品で、すぐに別れた男だ。

短期間の間しか付き合っていなかったけどそれでも、この男が私に費やした金額はデート代もいれたらこの都会で新築マンションが買えてしまうくらいの金額だったはずだ。

chapter34ss (42)
それが理由で執着するのか、それとも私自身に未練があるのかはわからないが別れた後もとにかくしつこく連絡してきたりするような女々しいところがあった。

「・・・私が誰と何をしようと、もうあなたには関係ないでしょ」

「そうつれないこと言うなよ。俺がお前にいくら使ったと思ってるんだ?」

chapter34ss (43)
カイトには聞かれたくない言葉を男はわざと大きな声で言い立てる。

最低な男。それと同時に短期間でもこんな男と付き合っていた過去の自分に嫌悪感が沸く。

chapter34ss (44)
「おい、お前」

男がカイトに声をかける。下卑た笑みを浮かべながら言葉を続けた。

「この女は綺麗な顔してとんでもない女だぞ。金を引っ張れるだけ引っ張って、飽きたらポイだ。プレゼントをねだるときの手腕なんか今思い出してもすごかったよなあ・・・」

chapter34ss (45)
「失せろ。殴られたくなかったらな」

男の言葉に、いつも感情を表に出さないカイトが怒りを隠さずに冷たく言い返した。
カイトの剣幕に一瞬怯んだ男だったけど、すぐに薄笑いを浮かべる。

「かっこつけやがって・・・そんな脅しが効くと思ってんのか」

chapter34ss (46)
「脅しかどうか、試してみるか?」

これ以上男が言葉を続けたらただではおかないという雰囲気がカイトから立ち上っている。
男は大きな口は叩くものの、単なる粋がったお坊ちゃまだ。

chapter34ss (47)
カイトが本気だと見るや否や、薄ら笑いを引っ込めて「くそっ」と悪態をつきながら消えて行った。

chapter34ss (48)
「・・・・・ごめん」

カイトに何と声をかけていいのかわからず、私はただ小さく呟いた。
私が男に貢がせていたことはカイトも知っていることだけど、こうして過去の男から具体的に聞かされることは嫌なことには違いないから。

chapter34ss (49)
「お前が謝ることじゃないだろ。過去のことを気にしても仕方ない」

「そうだけど・・・でも」

「変わりたいと思ったらいつだって人は変われるもの、なんだろ?もうお前は今までとは違うって俺は信じてるから」

私がさっきカイトに向けて言った言葉をそのままカイトが返してくる。温かい言葉と一緒に。

chapter34ss (50)
「俺は信じてるから」

その言葉はどんな言葉よりも私の心に沁みていく。


chapter34ss (51)
「・・・カイト」

「ん?」

「側に・・・いってもいい?」

カイトの側で、肌が触れる距離でその温もりを確かめたかった。

chapter34ss (52)
私の小さなワガママにカイトは困ったような笑顔を浮かべて、それでも私の体を抱き寄せる。

chapter34ss (53)
温かいカイトの胸の温もり。
こうして側にいるだけで、幼い頃から心にぽっかりと空いた穴が塞がれていくような気がした。

chapter34ss (54)
「俺もシャロンに言いたいことがある」

私の耳元で聞こえるカイトの囁きに、顔を上げる。

「過去のことはもう何も言わない。でも約束してくれ。これからは俺だけを見るって」

chapter34ss (55)
「・・・・・約束、する」






同時刻、ブリッジポート駅。

chapter34ss (56)
「ふあーーー!やっと着いた!ここがブリッジポートかあ。さすが都会ってカンジ」

chapter34ss (57)
「ジェイク、未来のお嫁さんが今行くからね!待ってなさいよーーー!!」





                                chapter35へ続く

chapter33

  • 2014/05/09 17:38
  • Category: Story
こんにちは!
予告通り今日はストーリーの更新です♪
のちほど(時間があれば)配布シムのUPもしたいな。(シムは完成しているので今日間に合わなくても
来週にはUPします)
そしてなんと・・・前回のchapter32更新日が2月8日でしたww3ヶ月もストーリー更新してなかったんだ~;;
楽しみにしてくださる方がいたら本当にごめんなさい!

以前のように週イチ更新というのは難しいかと思うのですが、2週間に1回は更新していきたいです。

今回またゲスト出演してくださったお友達シムさんがいます!

ルーカス:minkさんの作ってくれたシム
とっても可愛くて撮影中もすごく新鮮&楽しかった♪minkさんどうもありがとう^^

ではでは本編スタートです!





それは突然すぎる言葉だった。

chapter330509ss (1)
「シャロンと付き合うことにした」
俺とカイト、レイの3人が久々に顔を揃えテレビを見ている最中にカイトがそう告げた。
あまりにもさらりとした言い方に俺は思わず「ふーん」と聞き流してしまいそうになったほどだ。

chap33ss.jpg
「は・・・?」

chapter330509ss (2)
「やっぱりそういうことだったのか。カイトもなかなかやるな」
レイは全く驚かずニヤニヤしている所を見ると、何か二人の間に兆候らしきものがあったのか?
・・・・俺は全然気が付かなかった。

chapter330509ss (3)
「ちょっ!ちょっと待てよ!!いきなり付き合うってどーゆーことなんだ?!説明しろよ!第一お前、シャロンと喧嘩ばっかしてたじゃねーか!」

chapter330509ss (4)
「ジェイク、落ち着け。無関心が基本のカイトがあれだけ強い反発を持ってた時点でお察しだろうよ」

レイの上から目線の言い方も気にいらねえ。一体何なんだ?
俺はあと一歩のところで足踏みしてるっていうのに、早々と先を越しやがって!

chapter330509ss (5)
「好きになったから付き合った。それだけだ」

カイトは照れることもなく淡々と言う。
普段は何も関心がないように見えて、こうと決めた時のカイトの行動力はすごい。それは小さい頃から何度も見てきたからよく知っていた。でもまさかそれが恋愛にも適用されるとは思わなかった。

chapter330509ss (6)
「・・・まあ・・・お前とシャロンがいいならいいや。おめでとさん」

先を越されたことは少々不服だったけど、よく考えてみればカイトがこれだけはっきりと女に対して「好き」だと宣言したのは初めてのことだ。カイトにそう思えるような相手が出来たことが俺は嬉しかった。

・・・・相手がシャロンっていうのにはちょっとばかし驚いたけどよ。
男と女の世界は何が起こるかわからねーな。

chapter330509ss (7)
「で、ジェイクはどうなってるんだ?フラれたのか?」
レイがこちらに話の矛先を向けてくる。

「フラれてねーよ!両思い目前に決まってんだろ。あと一押しすりゃリサと俺は・・・」

chapter330509ss (8)
「今度こそ失敗するなよ。お前はいつも詰めが甘いんだから」

chapter330509ss (9)
「うるせー!お前は自分の幸せに浸ってろ!!」

chapter330509ss (10)










chapter330509ss (16)
いい加減リサにはっきり気持ちを伝えないと駄目だ。
リサの様子からも俺のことをそう嫌っているわけじゃなさそうだっていうのはわかる。
それにやっぱり最後ちゃんと決めるのは男の役割だろう。

chapter330509ss (17)
・・・・・別にカイトとシャロンが付き合ってることに即発された訳じゃねーからな。

chapter330509ss (18)
自分の心の中でそう言い訳をしていると仕事を終えたらしいリサが家に向かってくるのが見えた。

ここで告白しても構わねーんだけど・・・その・・・女ってやつは雰囲気とか重視するし
改めて仕切りなおしってことで俺はリサをデートに誘おうとここでリサの帰りを待っていた。

chapter330509ss (19)
「リサ」

俺が声をかけるとリサが振り向いた。
リサはヘアメイクをしているだけあって髪のアレンジがいつも上手い。

chapter330509ss (20)
今日もさらさらの金髪にアレンジを施している。
チクチョー!!なんだってこんなに可愛いんだよっ!卑怯だろ・・・。

「ジェイク、どうしたの?」
「お前さ、休みいつ?」

俺とリサの休みは不定期だ。その休みが合う日を探ろうと俺は尋ねた。

chapter330509ss (21)
「うーん・・・確か次の休みは明後日だった気がする」
「それマジか?!確かなのか?!」

俺と休みが一緒だ!同じ休みの日なんてしばらく先になってしまうんだろうと思っていた俺は
嬉しさのあまりつい大声をあげてしまう。

chapter330509ss (22)
これは神様が俺に告白しろと後押ししてくれているに違いない。きっとそうだ。

「だと思うんだけど・・・それがどうかしたの?」
「暇だったら俺と家で映画でも観ねえ?・・・あ、レイとカイトは仕事でいないんだけどさ・・・」

クリスマスのときみたいに「じゃあみんなで観よう♪」とか言い出されないうちに俺は先回りをする。

chapter330509ss (23)
「二人で・・・ってこと?」

chapter330509ss (24)
「べ、別に嫌ならいいんだけどよー・・・メシ食いにでもいくか?」

リサの口調に少し緊張が含まれているのを感じて、俺は慌てて別プランを出してしまう。
何やってんだ!!俺!!これしきのことで凹んでたら告白なんか夢のまた夢だぞ!!

chapter330509ss (25)
「ううん、いいよ。映画観よ。最近忙しかったから家でのんびりしたかったんだ」

にっこり笑顔でそう言ってくれるリサが女神に見えた。

「よ、よし。じゃなんか面白い映画探しとく」
「あれ?何か見たい映画があって誘ったんじゃないの?」

chapter330509ss (26)
「え?ああ・・・そ、それはそうだけど・・・」

やばい!!俺がただ単にリサを誘いたくて声をかけたのがバレバレじゃねーーかよっ!
もうこうなったら開き直るしかない!どうせ告白するんだ、リサにもそれなりの覚悟を持ってきてもらわねーとな・・・。

chapter330509ss (27)
「リサと休みを一緒に過ごしたいから誘ったに決まってんだろ。少しは察しろよな」

chapter330509ss (28)
「え・・・?それって・・・」

ようやく俺の気持ちに気が付いたのか、急に顔を赤くして俯くリサに俺まで赤面してしまいそうで
わざとぶっきら棒に言葉を続ける。

chapter330509ss (29)
「明後日13時に来いよ。お前の好きなフルーツタルト用意しておいてやるから」

「うん・・・。わかった」

chapter330509ss (30)
「じゃ明後日な。おやすみ」

「おやすみ、ジェイク」




chapter330509ss (31)
俺が告白したらリサは受け入れてくれるんだろうか。もし駄目だったら・・・。

chapter330509ss (32)
柄にもなくネガティブな考えが浮かんで俺はその思いを振り切るように目を瞑った。














chapter330509ss (11)
「ふう・・・・」

chapter330509ss (12)
片付けも一通り終わって私はベッドに腰を下ろす。
今まで男に貢がせた宝飾品やブランドバッグ、靴や服を全部処分したせいで、だいぶ部屋がすっきりした。

手に入れる為にそれなりの知略をめぐらせてきたものばかりだったけれど、カイトというちゃんとした恋人が始めて出来た今、それらを身に付けることも自分の側に置いておくことも急に嫌になってしまったのだ。

chapter330509ss (13)
カイトとはあれから2回ほど食事をしたり、映画を観にいったりしている。

今までの私だったら「中学生レベル」と一刀両断したであろう平凡なデートも、カイトと一緒ならどんなところでも楽しい。

chapter330509ss (14)
自分の気持ちのめまぐるしい変化に疲れてしまうこともあったけど、それは嫌な疲れ方じゃない。
心が温かくなって、優しい気持ちになれる。
こんな気持ちになったことは初めてで・・・・。





chapter330509ss (15)

早くカイトに会いたい。













chapter330509ss (33)




chapter330509ss (35)
「先生!今回も素敵なお話ですね~!僕思い切り入り込んじゃいました!!」

ルーカスが俺の仕上げたばかりの原稿と挿絵を見て、満面の笑みを浮かべた。


chapter330509ss (34)
ルーカスは俺がメインで作品を出版している会社の編集者だ。俺の担当になってからというもの
作品を好きになってくれただけではなく、俺自身にも憧れてくれているようで髪型を同じようなものに変えた時は思わず笑ってしまった。

chapter330509ss (36)
「おいおい。修正したほうがいい所があったら言うのがお前の仕事だろ」

作品を褒めてくれるのは嬉しい。が、編集者としてのアドバイスを忘れてしまうところが多々あった。

「あ!そうでしたね!うーん・・・特にないんですけど・・・しいて言うなら、主人公にもうちょっと迷いがあったらリアルかなって。読者も完璧なものより少し欠けている部分があったほうが親近感が沸くと思うんですよ」

chapter330509ss (37)
「なるほどな・・・。小説ならともかく絵本だから変なリアル感はいらないかと思ったんだが」

「でも先生の主な読者層は大人なんですよ。やっぱり少し現実味を出してもいいんじゃないかと」

「分かった。少し見直してみる。あと1週間時間をくれ」

chapter330509ss (38)
「3日にしてください。」

先ほどと変わらぬ笑顔でにっこりとルーカスが微笑んだ。どんなに俺に心酔していても、ルーカスは締め切りにうるさい。絶対に折れないことを身を持って知っている俺は苦く笑った。

「3日か。相変わらず厳しいな。了解」

「先生、話は変わるんですが恋人はいるんですか?」

chapter330509ss (39)
ルーカスのいきなりの質問に俺はコーヒーを吹き出しそうになってしまうのを必死に抑える。
突然何の質問なんだ・・・。

「お前な・・・。いきなりそういうことを聞くな。仕事に関係ないだろ」

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「えー。いいじゃないですか!先生の恋人ってどんな人なんだろうって考え出したら止まらないんですよ!きっと素敵な人なんだろうな」

「生憎そんな恋人はいない。お前の方はどうなんだ」

こういう時は相手にそのまま質問を返すに限る。

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「僕はこういう性格ですから、いいなと思ったら即行動派ですよ」

ルーカスははきはきとした性格だが、恋愛でもそうなのか。少し意外な気がした。

「お前、見かけと違って強いんだな」

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「見かけと違って・・・は余計ですね、先生。でもほら、よく言うじゃないですか。行動した後悔よりも行動をしなかった後悔のほうが大きいって」

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にっこり笑うルーカスは俺よりも遥かに男らしいんじゃないかと思ってしまう。
俺はいつだって・・・決断から背を向けてばかりだ。


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「ああ!まずい!!もうこんな時間だっ!編集長にどやされるーー!すいません、先生。僕これで失礼しますね!」

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慌しく席を立ち、走るルーカスの姿は先ほどの男らしい発言をした同一人物とは思えないくらい微笑ましくて、思わず頬を緩めた。

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一人席に残された俺は先ほどのルーカスの言葉を思い出す。


「行動した後悔よりも行動をしなかった後悔のほうが大きい」

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そんなことは俺だってわかっている。ただそれを実際の行動に移せる勇気が俺には・・・ない。
サラの時のような想いはもう二度としたくない。

でも・・・それでも・・・・。

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その時カフェに入ってきた一人の客の姿に俺は釘付けになった。

カレン。

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体を重ねたあの夜から俺達は互いを避けていてほとんど会話をすることもなくなっていた。

このままじゃいけないと思いながら、どうすべきかがわからないまま時間だけが過ぎて。

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カレンは俺に気が付くこともなく目を伏せて座っている。その姿に俺は目が離せなくなっている自分に気が付く。

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好きな女に何一つ想いを伝えないまま終わるのか?
傷つくことばかり怖がって、それでも俺は男か?

行動した後悔になっても構わない。俺はカレンに言わなきゃいけないことがある。

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「カレン」

席を立ってカレンに声をかけると、驚いた表情で立ち上がった。

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「・・・・・偶然ね。こんな所で会うなんて」

そう言葉にするのがやっと、というくらいに気まずそうな表情を浮かべるカレン。

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「話したいことがあるんだ」

「私・・・今、人と待ち合わせしているのよ」

「時間はとらせない。すぐ済む。今少しだけ時間をくれないか」

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ようやく長い迷いから決断した今を逃したくなかった。
今すぐにカレンに想いを伝えなかったら、またどこかで自分の気持ちが変化することが怖かった。


「俺にもその話、聞かせてくれよ。レイ」

chapter330509ss (57)
最悪のタイミングで現れたその男は、実に楽しそうな声を俺に投げかけてくる。

俺もよく知っているその声の主は・・・・。

chapter330509ss (59)

マーク・・・・。





                                chapter34へ続く

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Loveflower888

Author:Loveflower888
modで色々キャラメイクできるPCゲーが好き。特に綺麗な男子を作るのが趣味。シムズ3がメインですがskyrimの記事も載せています。
今後はまったり更新。気ままにUPしていきます。

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